第3章 シャンゼリゼの出会い(二日目)

1.出発
2.バスティーユ広場
3.魔法博物館
4.ノートルダム寺院
5.シャンゼリゼ通り前編
6.シャンゼリゼ通り中編
7.シャンゼリゼ通り後編

7.シャンゼリゼ通り後編〜オペラ座の怪人〜 

長い昼飯を食って、外に出た我々は驚いた。

まだ5時だというのに、外は真っ暗なのだ。まぁ、真冬だから仕方ない。

しかし、今は、クリスマスシーズン。聖なる夜が近づくにつれ、シャンゼリゼ大通りは豪華なライトアップに飾られる。はっきり言って、メチャメチャ綺麗だ。並木に覆い被さるように取り付けられた無数の電球が、時間ごとに赤、紫、黄など、様々な色を発して道を彩る。写真がちゃんととれていないのが残念。

後ろを振り返ると、先ほどの凱旋門が光を発している。暗闇に光る巨大な凱旋門。マジで感動する。

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という状態の中、ふと我に返るとフランがほとんど残ってない3人。何しろ両替所が無いのだ。ここから先にある、オペラ座の近くの両替所は手数料を取られないと言う。そこまで待とう。

というわけで、歩きつづける3人。結構長い距離。

そこで……

私は発見してしまった。ツタンカーメンの像である。

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シャンゼリゼ通りの道の脇に、突然登場したツタンカーメンの像。どうやら、この辺でエジプト展だかなんかをやっているらしい。よく見ると何か本物の人でも入ってるような感じだ。しかし、ピクリとも動かないので、

しかし、よく出来ている。間近で見ると、何やら下腹部に衣服のようなしわがある。一瞬「まさか人間?」と疑うが、ピクリとも動かず、呼吸の様子もない。このしわの部分を出すあたりが、職人芸なのだろう。私はフランス人のディテールへのこだわりに感動した。

……と、見知らぬフランス人が、ファラオの前に硬貨を投げつけた。突然ファラオが動き出す……なんと、お辞儀をしたのだ。だが、お辞儀が終わると、またピタリと動きを止める。生きているのか?だが動きがに機械的すぎる。恐らく、ロボットなのだろう。内部センサーが、目の前の動く物に反応するようだ。

面白そうなので、私もやってみる。チャリーン。金額的には200円くらいだが、やっぱりファラオは深々とお辞儀した。

いい機会だから、写真を撮っておこう。フラッシュ付きのカメラで、ファラオの正面から激写。すると……ファラオの目が開いた。 台の上から、両足を固定したままピョンと飛び降りたファラオ、いや、全身金色に染めたフランス人が、凄い形相でピョコピョコ飛び跳ねてこちらに向かって来た。

「……マジっすか?」

一目散に逃げ出した我々は、フランス人の怖さと比類なきセンスを深く心に刻み付けた。3人は、このシャンゼリゼの出会いで、改めてカルチャーショックを感じるのだった。

 

さて、呪いのツタンカーメンと出会うと、長かったシャンゼリゼ通りもついに終わりを迎える。次の目的地は、マドレーヌ宮殿。ギリシアのパルテノン宮殿に似た、豪壮で美しい宮殿らしい。シャンゼリゼ通りの終点には、オベリスク(尖塔)のそびえるコンコルド広場があり、背後にはシャンゼリゼ通りのシンボルである、光り輝く巨大な観覧車(30F)。そこから南にパルテノン神殿が輝いている。写真が無いのが残念だ。いながき、持ってない?

 

しかし………地図を見ると、マドレーヌ宮殿は北にある。だが、どう見ても南に見えているのだ。地図に逆らうのもなんだが、自分の目を疑っても仕方が無いので、我々は南へ向かった。すると……

川を挟んで、遠くに塔が姿をあらわした。パリの名物、エッフェル塔である。なるほど。夜景に映えて、実に見事だ。パリに来たのを実感してしまう。エッフェル塔は明後日。今から楽しみだ。

というわけで、パルテノン神殿(もどき)。マドレーヌ寺院である。しかし我々は、後にこれがマドレーヌ寺院でないことを知る。実はこれ、パルテノン神殿に似ているが、実はブルボン宮殿。フランス革命時には国民議会の部隊にもなった由緒正しい宮殿だったらしい。元の旅行記には「偽マドレーヌ」とか書いてあって、実に失礼である。暫く北に歩くと、本物のマドレーヌ寺院があった。

 

madeleine.jpg (31030 バイト)←写真はイメージ図です(笑)

さすがにあまりに暗かったので、まともな写真が取れなかった。マドレーヌ教会自体、発光してなかったし。しかし、暗くても十分に威圧感を感じる、とんでもない建物だった。さっきのブルボン宮殿も綺麗だったが、こっちはとにかくデカく、迫力があった。多分、アテネのパルテノン神殿はまさにこんな感じなのだろう。

なんにしても金が無い為、両替所を探し出すのが急務となる。目指すはオペラ座。寄り道などしていられない……と思ったら、クレープ屋があった。本場(?)パリのクレープ。これは、食っとくべきだろう。いきなり寄り道開始の3人。言葉のハンデを乗り越えて、俺はチョコバナナを、いながきはラムレーズンのクレープを買う。かなめは腹痛らしい。

「ラムレーズンって、お酒入ってるんだ」

ラムがなんだか分かってないいながき、酔っ払う。

「腹いてえな。腸てんねんなのかも知れない」

か、かなめ。それを言うなら腸ねん転だろう。

だんだんと不思議モードになっていく3人。疲れているのか?

そして、オペラ座。ていうか、もう閉まっている。しかも、近辺の両替所、確かに表示されている換金レートは素晴らしいが、そもそも閉店。……え、10分前閉店?

両替もできず、疲れ果ててホテルに戻った3人。どう帰ったのかすら良く覚えていない。あまりに疲れていたため、晩飯を食う余裕もなく、即座に爆睡の3人。午後22時頃。実に健康的である。

長かった一日が終わった。フラン貧乏の我々はとりあえず、レートには目をつぶって明日どこでもいいからフランを作ることにした。

第四章