第3章 シャンゼリゼの出会い(二日目)

1.出発
2.バスティーユ広場
3.魔法博物館
4.ノートルダム寺院
5.シャンゼリゼ通り前編
6.シャンゼリゼ通り中編
7.シャンゼリゼ通り後編

2.バスティーユ広場〜フランスで鉄道に乗ると言うこと〜

駅は、思いのほか近いところにあった。駅の名前はイタリア広場。ホテルから歩いて10分くらいのところである。

そもそもこのあたりが「イタリア広場」らしいのだが、何故ここがイタリア広場なのかはついに分からなかった。近くに一軒だけイタリア料理店があったのだが、結局それだけ。

さて、恐らく地下鉄の入り口であろうと思われる入り口に入る。

…………??どう見ても切符売り場が無い。人はどんどん出てくる。そして、地面には切符が散乱している。コレが汚い。パリってのはもっときれいな町かと思ってたのだが、地下鉄の出口には膨大な量の切符が乱れ落ちている。出るときに切符が回収されない(自動改札は通らなきゃいけない)ので、みんな要らなくなった切符をそこら辺に放置するのだ。これはよくない。花の都とまで言われたパリとしては、イメージダウンである。

それはいいとして、どうやら、これは出口専門の地下鉄らしい。近くをうろつくと、もう一つ入り口を見つけた。中に入ると、やっぱりコレが正解。窓口に行って、切符を買う。

しかし、どうもいかん。おびえる3人。

「フランス人に英語で話し掛けると、ものすごく不機嫌になるらしい(by Sac)」

みたいな話を何度も聞いていたので、これはフランス語で話し掛けねば、と。しかし第二外国語がドイツ語、ドイツ語、中国語という3人。英語がダメなのにドイツ語がいい訳が無く、ましてや中国語などで話し掛けたら殺されるかもしれない。仕方なく、知ってる単語を組み合わせる。

「カルネ、しるぶぷれ」

「しるぶぷれ」がどういうつづりでどういうアクセントがあるのかなどわからない。分かるのは、英語で言う「please」と同じ意味に当たると言うことだけだ。そういうと、王様のレストランでもギャルソンがシェフに料理を頼む時に「しるぶぷれ」と言っていた。間違いない。

つまり、名詞に「しるぶぷれ」と付けると丁寧語になるのである。これは便利だ。

ちなみに、カルネについて説明しておこう。

カルネとは、回数券のことである。

パリ市内では、切符に距離による違いは無く、一枚8フラン(160円弱?)でどこにでも行ける。それを10枚セットで55フランで売っているものをカルネという。3日あれば、まぁ使い切れる。7枚使えば元が取れる仕組みになっているので、パリに行くのなら買ったほうがいい。

というわけで、カルネを手に入れて電車に乗る。前にも言ったが、フランスの電車は終着駅の名前がわからないとどっちに向かっているのかさっぱりわからない。〜方面行き、という表示が、終点の名前だけなのだ。隣の駅の表示もなければ、電車の中で駅の名前の放送も無い。かなり乗客を突っぱねたシステム。

電車の窓からは、フランスの町並みが見える。世界の車窓から。パリはいいなぁ。うん。ドラクエの町並み。これぞヨーロッパ。窓から見える巨大な駅は、オーステルリッツ。いわゆる「アウステルリッツの三帝会戦」として世界史に登場する町。イタリア広場からも近い。この駅が後で非常に重要となってくるのだが……

と、言っている間にバスティーユに着く。

 

bastille.jpg パリの名所その1 バスティーユ広場

かのフランス大革命(1789)勃発の地。しかし、パリ市民に襲われたバスティーユ要塞は1789年に崩壊し、今は中央にシンボルとして7月革命戦死者慰霊の為の巨大な塔が立っている。

 

駅を出ると、バスティーユ広場よりも、その脇になにやらめちゃくちゃにでかい建物が建っているのに気がつく。でかい。でかすぎる。見渡す限り一つの建物。写真、塔の右にうっすらと見える建物だ。

これは、新オペラ座。オペラ座の怪人などで知られる「オペラ座」の後継ぎらしい。地上8階地下7階の巨人のような劇場である。

さて、塔の写真をとる3人。ベストポジションを探そうとうろついている間に、気がつくといながきが外人に捕まっている。どうやら、写真をとってくれということらしい。写真を撮るいながき。すると、別の観光客が登場。また写真を撮らされるいながき。するとまた……

ここに長くいると、職業カメラマンにされてしまう。人がいなくなったのを見計らって、すかさず広場を去る。そう。ここに長くいても仕方がないのだ。実はあまり見るべきもののないバスティーユ広場を去り、我々は第二の目的地へ向かう。そう。前日話題になっていた「魔法博物館」である。期待に胸を膨らませる俺(約一名)。しかし、そこにフランス人の仕掛けた巨大な罠が待ち構えているであろうことは誰も予想しなかった……

 

次回、3.魔法博物館へ続く