第3章 シャンゼリゼの出会い(二日目)

1.出発
2.バスティーユ広場
3.魔法博物館
4.ノートルダム寺院
5.シャンゼリゼ通り前編
6.シャンゼリゼ通り中編
7.シャンゼリゼ通り後編

6.シャンゼリゼ通り中編〜ルイ・ヴィトン〜 

凱旋門を出た我々は、昼飯を食うことにした。

凱旋門の前には、世界に名高い「シャンゼリゼ通り」が続く。

「おーシャンゼリーゼー おーシャンゼリーゼー たららーらららーらららーららららー(その後は不明)」

の、シャンゼリゼ通りである。もちろん、この歌がなんなのかは不明。

と、弟に頼まれていた「ヴィトンの財布」を買わねばならんことを思い出す。地図を見ると、凱旋門からさほど離れてはいないようだ。そこで、先にルイ・ヴィトンの店(本店らしい)に入る。高級感が溢れていて、入るのに勇気がいる……と思いきや、なんとそこは………

日本人の巣窟だった。

どこを見ても日本人、日本人、日本人。

耳を傾ければ、日本語、日本語、日本語。

おい! ここはフランスじゃなかったのかっ??

客の7割から8割は日本人。なんなのだ。一体。店は思ったよりも狭いが、中をうろついていてもなかなかお目当ての商品が見つからない。仕方なく、かなめといながきは店内の椅子に座っていてもらって、自力で商品を探す。

しかし、メチャメチャ混んでいるので、店員すら捕まえられない。本当に忙しそうだ。どうやら店に並んでいるものは少なく、客の注文に応じて店員がいくつかサンプルを持ってくるシステムのようだ。そこで、コバンザメ作戦を決行する。

財布を捜している感じの客の側に行き、何気なく店員が財布を持ってくるのを観察。客に見せているところで、すかさずお目当ての財布を指定して値段を聞く。

万事OK。英語も通じたらしく(ていうか、むしろこんだけ日本人がいたら日本語すら通じそうだが)、スムーズに交渉が成立。財布は、日本で買うよりも5000円程度安かった。なんだかんだ言って本国で買ったほうが安いらしい。何よりも、俺はで買った。

どうやら俺がくっついていた客(若いカップル?)もやはり日本人だったらしく、声をかけてきた。

「あなた、ラッキーですよ。あたしたち、店員さん捕まえるのに、2時間くらいかかりましたから」

うーん。2時間は待てねぇ……

とりあえずその二人に礼を言い、財布を買う。ただ、俺はカードが無いので免税の手続きなんかが結構面倒だった。

るしふぇる「あー、悪い悪い。遅くなっちゃって

いながき「いいよ。俺らは本上まなみと話してたから

かなめ「そう。

るしふぇる「は??

いながき「いたんだよ、本上まなみが。

るしふぇる「???

かなめ「韓国人だけど。

るしふぇる「???????

 

深まる謎の中、我々はヨーロッパるるぶ(パリ・ロンドン・イタリアを片手に昼飯を食う場所を探す。せっかくここまで来たんだから、ファーストフードというのも味気ない。

ちょっと現金に不安を覚え、トラベラーズチェックをフランスフランに両替したいのだが、AMEXが全然見当たらない。そこらにあるのはみなトーマス・クックである。トラベラーズチェックに記載されている会社でないと手数料が高いのだが、ちっとも見つからない。しかたなく、そのままレストランへ。「ヒポポタマス」という名前のステーキレストラン。

るるぶに載っている割には、店内ガラガラ。それもそのはず、もう昼時はとっくに過ぎている。ルイ・ヴィトンが長すぎたか?

メニューには日本語も載っており、なかなかフレンドリーなお店。そして何よりトイレ完備。

食べたのはこんな感じ。

前菜
フォアグラ
はるか昔に一度食った記憶があったのだが、イメージはよくなかった。でもまぁ、一応世界三大珍味。ちょっと別料金で高いが、食ってみる。……くどい。かなめは半分残していた。特別まずくはないが…… いながきは結構平気な感じ。
メイン
ステーキ
それなりに美味しかったけど、結局のところ、和牛のほうが美味しいんだろうね。固め。最初、「ヒポポタマスステーキ」とかいう名前で書いてあって、「カバの肉?」とか思ってしまった。
ポテト やたらとイモを食わせるヨーロッパシリーズ第一弾。塩味効きすぎ。唇が荒れる。しかし、平気ないながき。不死身か?
パン 大量のパンが出てくる。フォアグラはパンに載せて食べる。

 

といった感じで、日本円にして2000円弱。まぁまぁといった感じ。しかし、何がすごいって、飯を食い終わるまでに1時間30分くらいかかる。特別のんびりしていたわけではないのに。なるほど。これがフランス人の食文化なのだ。飯はのんびり。日本食は、基本的には前菜だの何だのといわず、一気に出てくるからね。懐石料理とかは知らんけど。

シャンゼリゼ通り後編に続く