第六章 北海道大学獣医学部

1.北大のチョビ
2.醸造酒醸造所

3.クラーク博士と羊の乳
4.地獄の谷の閻魔大王
5.室蘭再び


今日の予定
・北大医学部で、漆原教授を生け捕りにする
・クラーク博士の手の形がどどん波であることを証明
・登別温泉
・フェリーに乗る

4.地獄の谷の閻魔大王

さて、次はいよいよ旅の最終目的地、登別である。あとは室蘭に戻ってフェリーに乗るだけと言う、最後の観光地がやってきた。

登別に近づくと、やけに「鬼」が目立つ。名物地獄谷を意識してのものだろうが、とにかく鬼の像(手作り感ばっちり)がそこらに立っている。しかも、それがめちゃくちゃでかいのだ。登別の人々の、鬼に対する情熱が感じられる。

そんななか、オザワゴンからクマ牧場の看板が見えた。阿寒湖の博物館で見た、熊の剥製の出身地である。

「世界一のぼりべつ クマ牧場

”世界一”は修飾語につけるものだ!!!

いきなり嫌な予感がオザワゴンを包みこむ。何かで感じたやな予感。茨城共和国に位置する、ゆうもあたっぷりのあの場所。キタキツネ牧場でも感じた例のアレ。ああ、不安だ。

そんなこんなで、ついに登別についてしまう。登別は死ぬほど温泉街で、ぱっと見箱根と変わらない。狭い道にひしめく、温泉宿。そこを、どうみても無理なバスがすいすい通り抜ける。


さて、前に行った硫黄山は地獄山だが、今回のは地獄谷である。
8月だと言うのにいきなり駐車場にあじさいなどが咲いていて、さすがは北国だと実感した。というわけで、早速地獄谷見物。ちなみにここ、PHSがバリ3である。見た目は山道なのに。実に不思議だ。

地獄谷の付近の売店のポスター。

「第七回 全国鬼サミットのぼりべつ」。

一体何のことだろう? この街の住民のセンスについについていけなくなる敬服した。

地獄谷は、なるほど、確かに地獄っぽい。誰も行ったこと無いのに、なんか地獄である。そして、硫黄臭い。谷の下のほうでは、薬師如来が奉ってあったりした。なんでも、目に効能があるそうだ。

地獄谷のコースの奥には、温泉の湧き出る泉があった。もちろん、日本人としてはそこに硬貨を投げ入れるのである。硫黄分のせいでコインは硫化するらしく、既に入っている何百枚ものコインは黒ずんでいた。さすがに入れた瞬間に化学変化は起こらないようだが、酸が強いのか、即座に「きれいになる」という現象が起こった。

さて、谷を一通り見終わった我々は、せっかく温泉街なので、温泉に入ることにする。駐車場の近くに一つ見つけはするものの、帰れなくなる位高いので、断念。しばらく散策することにした。途中、閻魔大王の巨像を発見。他のメンバーはあまり興味を示さなかったのだが、よく見ると時間によってイベントが起こるらしい。イベント発生時刻は15時、17時、20時、21時、22時……という中途半端な時間設定が謎だったが、とりあえず覚えておくことにした。

閻魔大王のほかには、夜の9時から2時まで営業するラーメン屋などを発見した。夜の9時から営業???

で、ちょっと歩くと、390円で入れる風呂が見つかった。貧乏人の我々が何も考えずに喜び勇んで中に入っていったのは、いうまでもない。

なお、やっぱりここでも例の「水風呂」をやった。ここの水風呂は今までのに輪をかけて冷たく、比喩表現ではなく心臓が止まりかけた。その後、サウナへ。

ドーピングしているようなものなので、とりあえずサウナに入って元々中にいた人が全滅するまでは残っていようという戦いを、一人で勝手に始める。しかし、中に圧倒的に強力なじじいがおり、放っておいたら1時間くらい入ってそうである。これは強敵だ。

苦戦の末、なんとかじじいを撃退。果たして地球は救われたのである


そんなアホをやっている間に、そろそろ風呂から上がる時間。390円にしてはなかなかのものであり、登別の真髄を感じた気になった。風呂を出て、休憩所でだらだらしてると、あちらこちらから中国語が聞こえる。やはり北海道と台湾には何か関係がありそうである

しばらくするとメンバーが揃ったので、最後の晩餐。
風呂屋と閻魔大王の間くらいにある、「いせくら」という、いくらっぽい名前の店で晩飯を食うことにした。

中に入ると、19時だというのに客がいない。メシ時だろ? 不安がよぎる。
この店、海鮮丼が売りなのだが、なんと三種類ある海鮮丼のすべてにイクラが入っているらしい。はるか、大いに戸惑う。まぁ、別に海鮮丼以外にも食うもんはたくさんあるので全く問題は無いのだが。

注文を終えたころ、一人の老人がやってきた。

老人「まだ早いかな?

早くないだろう……だが、この街の時間はおかしいのかもしれない。ラーメン屋の営業時間もそうだし、さっきの閻魔大王も、一番人がいそうな時間帯にイベントが起こらない。何かが狂っている……

などとシリアスな気分になることもなく、「いせくら」と書かれた箸入れの「せ」だけ隠してほぉらイクライクラ」などとはるかをいじめていたら、いつのまにか客が増えていた。だが、入口が開いた気配は全然ない。気が付くと、さらに客が増えている。謎が謎を呼ぶ。またシリアスである。

俺は気付かなかったのだが、どうやら客は皆厨房から入ってきているらしい。なぜ厨房から?? 入口は? 本当に謎だらけである。

ちなみに、メシの内訳はこんな感じ。

るしふぇる かにイクラ丼
たけし・いがた・まこり えぞ丼(鮭とイクラ)
はるか 刺身定食

         
北海道最後の飯も食い、満足な我々は、オザワゴンに戻る途中、閻魔大王像の前で立ち止まった。なにやら人がわらわらと集まっている。全く意識はしてなかったのだが、どうやらイベントが起こるらしい。時計は、20時をさそうとしていた。

「からくり閻魔」と名づけられたその巨像は、ついている解説を読む限り、顔が変わるらしい。どうせ子供だましのアトラクションだろう、そう誰もが思った。あと数分でイベントが始まる。せっかくだから、一応見ていこうという程度である。

時計の針が20時を指した……

どこからともなく、おどろおどろしい音が鳴り始める。その後しばらくして、閻魔大王が動き出した。思いのほか激しい動きをする閻魔大王。

そして、閻魔大王の顔が変わった

正直な話、このイベントを文章で表現するのは無理である。ただ、「すごい」とだけ言っておこう。事実、メンバー5人は例外なく、このイベントを見た後放心状態だった。少なくとも俺は、閻魔大王の顔が変わってからイベントが終了するまで、開いた口がふさがらなかった。「開いた口がふさがらない」を本当に実践したのははじめてである。それくらいの破壊力が、登別の閻魔大王にはある。改めて、登別の地獄に対する執念とこだわりを感じてしまった。是非、この閻魔大王の企画書を見てみたいものである。

 

コメント集その11 「登別の感想」

たけし あのやる気をゆうもあ村に見せてやりたい
まこり 沼に行きたかった。
ばるながもう少しで9000ダメージくらうところだった。
まさに恐るべきホテルの建つ土地
はるか そりゃーないぜえんま様、って動きが見れた。
いがた 「世界一のぼりべつ クマ牧場」


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