第4章 寒空のヴェルサイユ(三日目)
1.出発
2.ヴェルサイユ
3.宮殿にて
4.フランスのマック
5.フランス料理
4.フランスのマック
宮殿からの帰り。どうもヨーロッパでは睡眠は規則正しいのだが、食事がえらく不規則である。時刻は昼をかなり過ぎている。
そろそろ腹が減って仕方が無いのだが、飯を食うところもない。ヴェルサイユ駅周辺を徘徊していると、ショッピングモールがある。ここで、少し周辺フランスの文化を観察しよう。といっても、飯を食うところはマックしかない。中をうろうろしていると、おもちゃ屋があった。
店にはゲームボーイが売ってたり、ポケモンが流行してる感じだったり、日本から輸入したゲームソフトがあったりFF8のフィギュアがあったりと、実に興味深い。やはりゲームは日本らしい。
また、側にあったビデオレンタル屋も、面白かった。残念ながら何が面白かったのかは覚えていない。
さて、結局昼飯は軽くして、パリへ戻ったらちょっと豪勢に晩飯を食おうということになったので、昼はマックになった。ここ、なかなか面白い。
フランスのマックでも、日本の65円バーガーよろしく、「ハンバーガー」だけはべらぼうに安い。ハンバーガー以外のものを注文すると結構値は上がるのだが、せっかくなのでやはりフランスオリジナルっぽいものを頼まねば。というわけで見ていると、「DXバーガー」というものがある。これは日本には無い。しかも、なんとビッグマックよりも値段が高いのである。これは期待できそうだ。
DXバーガーは、基本的にはハンバーガーなのだが、明らかにハンバーグがでかい。そのうち、いながきが俺のDXバーガーを見て食いたいと言い出し、追加に単品で買うことになった。
ところで、我々はフランスのお金について、どの硬貨がどの金額なのかなどを良く覚えていなかったのだが、なぜか使う機会の無かった「20」と書いてあるちっちゃな硬貨が余っている。恐らく20F(400円)なのだろう。だが、どうにもしょぼくて、20Fの価値があるとは思えない。いずれにしても、使ってみないと分からない為、DXバーガーにていながきが使うことになった。とりあえず付いていく俺。
売店でのいながき。
いながき「DXバーガーひとつ。
店員「20Fです
いながき「(さっきのお金払う)
店員「NO。(コインを差し戻す)
いながき・るしふぇる「あ……
やはり、ダメだった。20Fでないとすると、Fの一ランク下の単位である。後で調べると、フランの下に「サンチーム」という単位があった。
1フラン=100サンチーム。
そう。いながきはビッグマックより高いものを買う際に、なんと4円を差し出したのである。そりゃあ、「NO」だ。フランス人もビックリである。
さて、フランスのマックで最も特筆すべきことは、そんな20サンチーム事件なんかではなく、「モノポリー」なのである。フランスのマックではモノポリーキャンペーンをやっており、店に置いてあるモノポリーのボードを模したシートに、シールを貼り付けていく。カラーが揃うと、いろいろ賞品がもらえるのだ。モノポリー王の俺としては、とりあえずやらないわけには行かない。大体、ドリンクやなんかにシールがついていてそれを貼るのだが、これがどういうわけだか、枚数少ないくせにダブる。なんだそりゃ? 一向に揃う気配など無い。
余ったシールをもてあましていると、現地の子供が来て、シールをくれと言う。集めているらしい。まぁ、俺らがここにいてもどうせ揃わないので、快くくれてやることにした。こういうふれあいはなかなか嬉しい。
それにしても、もし日本でそんなキャンペーンをやったら、俺はキャンペーン中毎食マックだろう。しかも、知人友人にはことごとくマックを勧め、シールを略奪しかねない。世界平和の為には、日本ではモノポリーキャンペーンをやらぬのが正解であるといえる。
なお、マックには広末涼子に似た客がおり、我々に無駄な話題を提供してくれた。
というわけで、マクドナルドが一番盛り上がった、ヴェルサイユの旅は終わりである。我々は列車でアウステルリッツに戻った。
次回、5.フランス料理へ続く