第4章 寒空のヴェルサイユ(三日目)
1.出発
2.ヴェルサイユ
3.宮殿にて
4.フランスのマック
5.フランス料理
2.ヴェルサイユ〜チーズ〜
アウステルリッツ⇒ヴェルサイユの電車の中。ここでもう一度確認しておくが、この日は12月17日である。
かなめ「今年は3人だったけど、来年は、年賀状書く人が増えたんだよ。
るしふぇる「何人ぐらい?
かなめ「片指で数えられるくらい。
いや、片指では何人も数えられまい。
なんて言ってると、ヴェルサイユ駅につく。ヴェルサイユなんて言うとさも豪華絢爛な街を想像してしまうが、実際に行くとパリの周辺都市である。ガイドブックにも、イル・ド・フランス(意味は不明)と書いてある。パリから電車で30分も離れると、すぐにのどかな田園風景になる。
ヴェルサイユ駅の自動改札を抜ける。すると、我々が今乗ってきた折り返し・パリ方面行きの電車に乗るために、山手線→常磐線の、日暮里乗り換えのような壮絶なバトルが繰り広げられる。ダッシュするフランス人。彼らは、自動改札が何なのか理解していないのか、皆切符を入れずに跳び箱のごとく改札を飛び越えていく。おそらく、あれができる人は旅費がいらないのだろう。さすがはフランスである。
さて、とりあえず駅に降り立つ。前回忘れたような気がするので書いておくが、何気に雨が降っている。しかも、真冬もいいところである。メチャメチャ寒い。これ、本当にマジで寒い。
と、寒さを実感してもらいつつ、ヴェルサイユに関する情報は少ない為、とりあえず「こっちがヴェルサイユ宮殿かな?」と思う方向に歩いていく。もちろん間違っている。
どうにも分からないので、道を聞く。旅の恥は書き捨てなのか、海外だともう道聞いてばっかりである。フランス人はフランス語しか話さないとかいうが、たとえ辺境でもちゃんと英語は通じるので大丈夫。もっと辺境だと無理だろうが。多分、フランス人のプライドの高さは、日本人がみんな大和魂で神風万歳なのと同じようなものなのだろう。そういう人もいるぜ、というもんじゃないだろうか。
だが、ヒアリング能力がどう見ても足りないので、しばしば「質問は通じたが答えがわからない」という現象が起こる。
ともあれ、その辺のお姉さんに道を聞いて、場所が判明。途中に、チーズ屋があった。そういうと、竹にチーズを買っていく約束をしていた。なんか地方のチーズ専門店という感じで、日本でいう「昔ながらの佃煮屋」みたいなもんだろう。というわけで、中に入って(すげぇチーズ臭い)、カマンベールチーズを買う。このチーズが、我々の旅に後々響いてくることになろうとは誰も予想だにしなかった。
そんなわけで、ヴェルサイユ宮殿につく。入口で、いながきが怪しいフランス人に捕まって、何か買わされそうになる。ていうか、危うく買いそうだった。いながきはこういうのが多い。
次回、3.宮殿にてへ続く