Histry of Satan

魔王として知られるサタンだが、その姿や役割は歴史を重ねるにつれて大きく変わっている。

<旧約聖書>
そもそも、サタンとは「敵」をあらわす一般名詞であった。
実際、旧約聖書に登場する「サタン」の単語のうち、過半数は「敵、中傷するもの」(ha-satan)という意味でしか使われていない。これは、善でも悪でもない中立の存在である。
その後、神の僕で、人間を悪に誘惑して試す天使としてのサタンが登場する。


<新約聖書>
一方で、新約聖書のサタンは、神に滅ぼされる龍として描かれる。
ここにおけるサタンは、神の命令によってではなく、自らの意志で人間を悪に誘うのである。

予言書として知られる『ヨハネ黙示録』では、サタンは赤き龍として描かれる。
世界の終わりに大空に現れ、人々を惑わすこの龍は、七つの頭、七つの冠、十の角を持ち、長大な尾は天の星の三分の一を引っ掛けて地上に落とす。
やがて天に戦いが起きると、龍はその眷属を引き連れて、大天使ミカエルやその部下達と戦う。
最後は争いに負け、地上に落とされるが、今度は地上で禍を起こし、口から大河を吐くのである。


<ギリシャ正教>
一方で、ギリシャ正教の影響を受けた東シベリア、エヴェンキ族のサタンは、創造神の兄として描かれる。
初めに、神が石と土をこねて「強い人間になれ」と命じ、板の上で乾かした。
その後、神は他に仕事をしに行き、犬が見張りをしていた。
そこにサタンが現れ、犬に言った。

「お前は裸だな。神が作った人間を見せてくれたら、お前に着物をやろう」

犬が人間を見せると、サタンは唾を吐きかけた。こうして、人間は死すべき存在となったという。


<中世ヨーロッパ>
中世ヨーロッパに入ると、サタンは過大な力を持つ存在となった。隕石もサタンの仕業であると考えられるようになる。

この頃には、光と善の神と、闇と悪の神としてのサタンと言う二元論が発生し、キリストの再臨によって、1000年の間封じられていたサタンが、反キリストとして現れるという伝承が起こる。

また、聖書には存在しなかった「悪魔との契約」が、神との契約と言う概念をもとに発生した。
中世においては、サタンは黒装束、背の高い黒人と言った人間の姿をとる


<ルネッサンス>
ダンテの『神曲』には、地獄の最下層・コキュートスにおいて、氷付けにされているサタンの姿が描かれている。
ダンテによれば、ルシファーが天界から落下したのはエルサレムの対極にある南半球だったという。ルシファーが地球に接近するにつれ、陸地は恐怖と嫌悪のために体を縮め、衝突されるのを避けようと北半球の側に退いたので、南半球は陸地がなくなり水ばかりになったという。

ルシファーが地球に激突した瞬間、その衝撃で巨大な割れ目ができ、ルシファーは罪の重さのために地球の中心までのめりこんでいったという。こうして、地獄が出来上がった。

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