第四章 増えるマリモ
1.摩周湖リベンジ
2.増えるマリモ
3.日本一放し飼い
4.初テント
<本日の予定>
・摩周湖リベンジ
・阿寒湖でマリモの生態に迫る
・北キツネと闘う
・適当な場所にテントを張る
1.摩周湖リベンジ
摩周湖のユースホステル、ロビー。なんか、午前6時50分だかに集合だったのだが、予定通りみんな降りてこないため、インターネットなんか始めちゃったりする。テレホンカードを入れると、ダイヤルアップ接続を始めてくれる。自分のページに何箇所か書き込みをしてるうちに、メンバーが揃った。
パンと牛乳食べ放題という、もっともらしい売り込みの朝飯を食うと、我々はとっととユースを出た。
コメント集その6 「ユースホステルの感想」
たけし | 相部屋でもわりと苦にならない |
まこり | 頭を3回天井にぶつけまこり |
はるか | トニー危うし! |
いがた | 牛のニオイがする。 あそこの犬は、初日は怒ってたが、翌日はなれなれしくしてきた |
もちろん今日のメインイベントも摩周湖である。我々はリベンジャーであり、空はその復讐者たちを祝福するかのように、これでもかと言うくらい晴れている。今日は絶対いける!我々は確信した。
オザワゴンで、昨日の道を登る。大丈夫。今日は霧がかかっていない。昨日霧で前が見えなかった道も、全然問題なく進む。これは期待できそうである。
昨日は有料だった下の展望台を通り過ぎ、後に行った例の「帽子が掛けられた」上の展望台の方に行く。こっちの方が見えそうなのである。
だが、日本一透明度の高い湖は、我々を待っていてはくれなかった。
昨日よりは、はるかにマシである。だが、霧の摩周湖は霧の摩周湖。湖面は完全に霧に隠れていた。残念だが、しかし昨日の「そこに何があるんだかないんだかわからない」状況に比べれば、かなりの好転。摩周湖は確かにそこにあり、摩周湖「だけ」が霧に守られているという、なんとも不思議な空間を見ることができた。
それにしても、不自然なくらい「摩周湖だけ霧」である。霧発生装置があるとしか考えられない。恐らく、昨日取られた駐車場代は、霧発生装置の維持に費やされているのではないだろうか。いや、そうに違いないのである。
なお、俺の日記原稿を見ると、「摩周湖見えた。きれいだった。さすが!」と書いてあるので、もしかしたら見えたのかもしれない。何しろ、「さすが!」まで書いてあるのだ。
せっかくなので、捏造写真を撮っておく。捏造写真シリーズ2、題して
『あれが摩周湖だ!』である。相変わらず胡散臭い写真ができた。
なお、昨日の「帽子」は、同じ場所に同じ形で放置されていた。恐くて誰も手を出せないのだろう。南無。
摩周湖を諦め、次に我々が向かったのは「硫黄山」である。昨日止まった摩周湖の駐車場のチケットが、硫黄山と併用できるらしいのだ。硫黄山自体何があるのか不明だが、一度行っておいても損はしないだろう。
というわけで、硫黄山到着。いきなり、売店の隣のゴミ捨て場に「ゴミ捨て―ション」という看板が立っており、度肝を抜かれる。一瞬、「さすが北海道、こりゃあ涼しいや」などと投げやりになってしまうほどである。是非、上江にも挑戦してもらいたい。
硫黄山は、地面からモクモクと煙の上がる、地獄のような場所だった。気温は高く、山に登るというよりは、山を眺める形になる。硫黄で地面が所々真っ黄色になっており、いかにも毒々しい。何よりも、どこもかしこも硫黄臭い。そんな中で、このクソ暑い中頑張っている売り子の大きな声が聞こえる。
「たまごたまごたまごたまごーたまごだよー
はて? 何事か?
どうやら、温泉玉子を売っているらしい。硫黄山の地面から吹き付ける熱蒸気を利用して、ゆで卵を作っているようだ。
「たまごたまごたまごたまごたまご……
しかしこの響き、何かを思い出す。………あ、
昨日の釧路駅前のまこり。
「まこりまこりまこりまこりまこり……
お前も売られて来い。これ以降、旅行中は、たまご=まこりとなった。
しばらく進むと途中から縄がはってあり、立ち入り禁止区域になった。せっかくなので、例の捏造写真シリーズをとることにする。
捏造写真シリーズ3。タイトルは、『そこから先は危険!』である。
次の目的地は、屈斜路湖。クッシーがいるということで、世界的に有名な屈斜路湖だったが、いまやネッシー不在がニュースになったことで、世界的な地位も地に落ちた、斜陽の湖である。もちろん、手賀沼にいればテッシーであり、阿寒湖にいればアッシーなのであり、存在しないという意味ではどれもこれも大差ない。クッシーなど、ネットの掲示板で言えば親記事の「ネッシー」についたレスに過ぎず、親記事が消えればレスは全て消される運命にあるのである。
と、厳しいことは言うものの、やはりクッシーへの期待は拭えない。我々はクッシーを探しに屈斜路湖に降り立った。
外気の高さからか、屈斜路湖の水辺はかなりお湯化していた。温泉?と思うくらい熱かった。周囲の水溜りは完全に温泉化している。だが、残念ながらお目当てのクッシーはどこにも見当たらず、多分屈斜路湖の管理者も恥ずかしくてもうクッシーだなんてとても口にできないのだろうと、その心中を察したりしてみた。
せっかくなので、ここでも捏造写真をとることにする。捏造写真シリーズその4『水に戯れる子供』である。
オザワゴンが屈斜路湖を離れる時、我々は屈斜路湖の側に何かがいるのを見た。それは、やる気なく、明後日の方向を向いている、黄色い首長竜だった。
一同「く、クッシーー!!!!
われわれは、ビニール製のクッシーのあまりのしょぼさに呆れかえって憧れの首長竜に出会えた感動で二の句が告げなかった。
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