第三章 霧の摩周湖

1.最も北海道
2.釧路湿原

3.霧の摩周湖

<本日の予定>
・釧路で昼飯
・摩周湖の霧を晴らす

3.霧の摩周湖

次の目的地は、摩周湖の近くにあるユースホステル。多分ジャンケンの結果、ユースまでは俺が運転することになった。ペーパードライバー、ついに北海道である。一年目にして、いきなり東名高速を走ったり、幕張から帰ってきたり、北海道を運転するペーパードライバーもそうそういないだろう。

ユースホステル到着。なんと、入口にはパソコンが置いてあった。しかも、IBMの新しいやつである。ここで、テレホンカードを使ってインターネットができるらしい。

ユースは、メール予約だったので1割ほど安くなる。荷物を置いて、オザワゴンで摩周湖へ向かう。いよいよ、本日のメインイベントである。

摩周湖ってのは、俺的には北海道旅行の最大の目的なのだ。小学生の頃に読んだ、「妖精王」という漫画(山岸涼子)。北海道を舞台にした、ケルト神話モチーフのファンタジー。そこに、摩周湖に対して「魔州湖」と呼ばれていた女王の砦が登場する。その漫画の影響で、一度「霧の摩周湖」を見たいと常々思っていたのだ。

最初、思いのほか外は晴れていたので、意外と摩周湖も見れるのかな、という期待をもっていた。だが、それは全然甘かった湖に近づくにつれて、徐々に濃くなっていく霧。しばらくすると、完全に目の前が見えなくなってしまう。展望台の駐車場は410円。その時点で、何も見えない摩周湖が容易に想像できた。

車をおり、「摩周湖が見えるはずのスポット」へ。………思ったとおり、見事に真っ白である。本当に何も見えない。「この先に何かがある」のかどうかすら、よくわからない。だが、この霧が摩周湖の本体なのだ、という風に考えれば、この霧が見れたことだけでも本望かもしれない。


展望台の側には、野生のリスがいた。野生の癖に、そばで売っているヒマワリの種をあげることができる。

見た感じシマリスなのだが、ぼのぼのに出てくるようなシマリスとは尻尾の形が少々違うみたいだ。あんまりくるっとしていない。でも、さすがに野生のシマリスは可愛いのである。まこりの買ったヒマワリの種をあげてみる。手の平に載せたヒマワリの種を、上手により分けてかじる。どんどんかじる。まだまだかじる。

ふと、放っておくとガンガンお菓子を食べつづける「なみこ」を思い出したので、このシマリスを「ナミコ」と名づけることにした。

それにしても、このシマリスたちは可愛い。餌をやる時にのせる手がなんとも……ん? 手が可愛いといえば、有名な奴がいるじゃないか。はたして、シマリスとかなめの手と、どっちが可愛いのだろう? いい勝負か?

いがた「かなめちゃんがシマリスに勝つには、目を大きくするしかない!

目と手のバランスが重要らしい。


摩周湖の売店。中には、変なものがたくさん売っている。北海道全土に広がる「熊出現」ブランドや、「網走刑務所脱獄」ブランド各種木彫りの人形。これらのものは、日本語はもちろんだが、何故か「中国語」で表記されたりする場合が多い。北海道全般にいえるのだが、何故か「台湾人」を特に歓迎している。どういう関係があるのだろうか?

さて、個々の店で一番ひどかったのが、「摩周湖の霧」である。缶に詰められた210円の「摩周湖の霧」。「開けると、夢とロマンが外に出てしまうので、決して開けないで下さい」詐欺もいいとこである。

暑いので、ちょっとソフトクリームなどを買ってみる。大体、この手の観光地にはオリジナルソフトクリームが売ってたりするのだが、やはりここも例外ではない。何味か、と思って見ると、なんと「摩周ブルー」味。な、なんだこりゃ? しかも、「乳製品しか使っていません」と書いてある。期待……できるのか?

挑戦されたら引けないのが男なのである。というわけで、摩周ブルーを買う。

その名のとおり、青い。だが、俺の知っている乳製品には、こんな毒々しい色をした食物は存在しない。食べてみると、どう考えてもガリガリ君(ソーダ味)が10%ほど混入されているかなり紛い物っぽい味だ。

外に出ると、下山道があるのに気付く。一応、摩周湖に繋がっているようだ。だが、

・熊出没
・許可証がない者は絶対に登るな
・食料は充分に
・絶対に無理はしないこと

など、入口の物々しすぎる看板に怖気づき、進むのをやめる。とりあえず、余るほどフィルムのある、いがたカメラで写真を撮ることにした。

主演:たけし まこり
監督:るしふぇる
カメラマン:いがた

の、捏造写真シリーズ第一号。名づけて

『ショック!熊の出る山』

である。残念ながら掲載予定はないが……

その後、さらに上にある展望台から、摩周湖を見るが、やはり何もなかった。下の摩周湖に続く、霧で先の見えない急傾斜は、殺人事件発生にはもってこいの場所であり、展望台の手すりに掛けられた持ち主不在の帽子の存在が果てしなく不気味だった。

帰りは、車の窓から空のペットボトルを出して摩周湖の霧を集め、
「夢とロマン!!」とか言いながらユースホステルに戻った。
幸いホテルはこの近く。明日こそ摩周湖を見てやると、固く心に誓う。


ユースに戻ると、晩飯である。このユースには、食堂が別に用意されている。関西弁の陽気な兄ちゃんの案内で、奥の部屋へ。5人ともステーキセットを食らう。きっと北海道産の牛なのだろう。ここの費用は、ばるな2号からまかなわれた。

夕食後は、近くのホテルで風呂にはいる。基本的には男女共に貸切だったようだ。たけしと風呂レクを行う。

風呂レク:第三次世界大戦
ルール:負けたら飛び込め!!!

なんか、真ん中の壁が「途中で作るの飽きちゃったんです」的、死ぬほど手抜きな露天風呂で、戦闘開始。なお、風呂の中が砂利で、歩くと痛い。

一回戦:ジャンケン五回勝負
二回戦:ジャンケン三回勝負
三回戦:あっちむいてホイ
四回戦:未だに名前がわからないアレ
五回戦:人名しりとり(制限5秒)

4回戦までは、圧勝。たけし、何かが根本的に弱い。
最後の人名しりとりにて、るしふぇる、まさかの敗退。

勝率:8割

その後、たけしは、風呂の中で「あーーー」とか伸びをしたあと、突然
「とーさんかーさーん」と、ハッピーサマーウェディングを唄いだした。
無意識に口を突いただけに、自称モー娘。嫌いのたけし、巨大な精神的ダメージを受ける。


そんなこともあり、風呂から出るが、まだ女性陣は出てこない。
もうホテルは完全に閉めるぞモードなのに、出てこない。
しかたなく、ホテルの入口にあった「雪印」の自販機でコーヒーを買う。
もはやスノーブランドはブランドでもなんでもなく、いつのまにか勇気と度胸の象徴になってしまった。

ようやく他のメンバーが出てきたので、ユースホステルへ戻る。
ビール飲んで、アルゴやって、だらだらと適当に消灯。
特別同室の人と仲良くなったりもしなかった。

コメント集その5 「摩周湖の感想」

たけし 期待通り
まこり 予定通り。船とかほしかった。右も左も霧。
霧だけのましゅーーーこ
はるか 人為的? 夢とロマンいっぱい。
いがた ナミコリス。霧発生装置説浮上。
まこりは自分の食費を削っても、リスの餌を買うらしい。

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