第7章 大英博物館(六日目)
1.大英博物館
2.セント・ポール寺院
3.ロンドン名物タワーブリッジ
4.さらばビッグベン
2.セント・ポール寺院
大英博物館を出るころには、ちょうど昼時。
とにかく腹が減っていたので(俺以外の二人は後半ただ椅子に座っていただけなのだが)すぐに食える場所を探した。
昼飯を食う場所に迷っていると、結局昼時を逃していつのまにか夕方まで食い物にありつけず、変な時間に昼飯を食うと結局晩飯が食えなくなるという悪循環があることをこの旅で学んでいる。
というわけで、適当に飯を食えそうな店に入る。
どうやらイギリス料理の店のようだ。
メニューを見てもよく分からないのだが、とりあえず英語がわかる振りをする。
「このセットを3つ、それとアンチョビービザ1枚ね?」
などと言ってみる。もちろん、片手でメニューを指差しながら、もう片手の指で数を示しているのだが。
ジェスチャーは世界の共通語である。
というわけで、出てきたイギリス料理。
アンチョビーピザはアンチョビーピザ以外の何物でもないのでそれは置いておくとして、問題のセット料理。
中身は、
@見た目はチャーシュー、味はコンビーフで妙に量がある肉
Aまったく味がついてない角切りのフライドポテト。
であり、日本円で800円というのを考えてもまさにどうしょうも無い料理である。
やはり、イギリス料理の黒い噂は本当であった。
何しろ、大学の英語の教科書に「イギリスの料理が最悪なことは言うまでも無いことだが…」なんて記述があったくらいだ。
気を取り直して、地下鉄に乗りセント・ポール寺院へ移動。
と、駅の売店で意外なものが売っている。
……サモサ?
なんと、あのインド風揚げ餃子といわれるサモサが売っている。
日本ではありえない光景だ。
早速買ってみる。
うん、うまい。うまいぞ。
さすがはインドを植民地にしていただけのことがある。本格的な味だ。
サモサを食べながらセント・ポール寺院へ。
高さ100メートルを越すドームがシンボルの、クリストファー・レンが再建したイギリスを代表する寺院。 チャールズ皇太子とダイアナ妃が結婚式を挙げたという。中も明るく豪華。 |
入り口にはアン女王の像が立っている。
そういうとアン女王戦争なんていう戦争があったな。それぐらいの知識しかないのだが。
セント・ポール寺院に入ろうとすると、中から出てきた二人組みの外人が何やら声をかけてきた。
「*`))’$)#=#=%~=$)U"(=)#~="||~(="1$3」
「??????
何言っているんだろう。
イギリスにいるからにはきっとイギリス人に違いない。
だが、商業英語研究会所属、ましてや会長職を務めるいながきが、こんな話を聞き取れないはずが無い。
ということは、英語ではないのだろうか。
「($=)%'#=)~)~)~"|"#|)$'#')(#&'('&)"'R"#'("$'#"」
……
外人はあきらめずに話しかけてくる。
なにやら、紙切れを差し出している。
……?
もらえるものはもらうべきだろうか?
手に取ると、それはセント・ポール寺院の入場券だった。
……へ?
すると、外人二人はうれしそうに去っていった。
どうやら、俺たちにこのチケットをくれたらしい。
…………なんで??
謎は深まるばかりだが、遠慮しない星人なので遠慮なく頂いておくことにした。
ありがとう、外人さん。
というわけで、もらったチケットでセントポール寺院に入場。
一通り見て周り、椅子に座って休憩していると、何やらおっさんの日本語が聞こえる。
ホント何処にでもいるんだな、日本人。
その日本人の声が近づいてくる。
何やら偉そうにセント・ポールについて語っているようだ。
昨日の晩飯のところにいた得意満面でイギリスについて語るザ・イギリス親父を思い出す。
お近づきにはなりたくねぇなぁ。
……ん?
おっさんが近づいてくる。
あの親父、どこかで見覚えが……
って、昨日のザ・イギリス親父!!
まさか本人に出会うとは……
イギリス親父は、特に我々に気づくことも無く、相変わらずの得意満面顔で解説を続けながら目の前を通り過ぎていった。
いやぁ。
偶然ってあるんだなぁ。
3.ロンドン名物タワーブリッジへ続く