第6章 移動日の悪戯(五日目)

1.大天使再び
2.霧のロンドンエアポート
3.中華料理店
4.トラファルガーの戦い

2.霧のロンドンエアポート


ド・ゴール空港。でも、残念ながら記録も記憶も無いので、よくわからない。
来るときと同じ、新幹線みたいな座席の飛行機に乗って、いざロンドンへ。
さらばパリ、花の都よ。

ってわけで、着きましたよロンドンヒースロー空港
実は、ここ結構面白いことになっている。

パリ出発が、13:20
ロンドン着が、13:30

なんと、10分で着いてしまうのだ。
つまり、時間的には柏〜松戸間と変わらない。
そんなに近かったのか、パリとロンドン!!

なんてはずは無いのであり、これは時差がもたらす怪現象。
実際は1時間10分かかる。それでも、一カ国移動するのにこれだけってのは
やっぱりすごいなと思ってしまうのだが。
ただ、この現象のお陰で、ロンドンでの滞在時間が1時間のびたと思えば儲けものだ。

ロンドンの入国審査で並ぶのだが、ここのおっちゃんがめっちゃ怖い。
目つきも怖いし、パスポートを手渡したらあらん限りのパワーを込めて、

「ガンっ!!」

とスタンプを押す。こわいってばよおっさん。
というのが、イギリスの第一印象なのである。

さて、ホテルに行くにはやはり地下鉄に乗るのだろうが、どこに行けばいいのかさっぱりわからない。
珍しく、かなめがその辺の警備員に道を聞く。
でも、聞いたはいいが、さっぱりわからない。
そう。尋ねるのはできるのだ。問題は、聞き取ることである。

だが、フランスとは違い、ここは英語が公用語のイギリス。
少なくとも英語が通じるのは間違いないのだから、ここは臆せずどうどうと聞けばいい。

で、苦戦するかなめのところに行って警備員の話を聞く俺といながき。

………

ま、こんなのが分かれば、英語ができないってぼやいたりしないのである。
しかし、なんとか聞こえた単語を組み合わせて進むべき道を当てる3人。

「三割わかれば用は足りる」という名言を残し、我々は駅へとむかった。

空港からの電車から外を見て、イギリスに来たことを実感する。
同じヨーロッパと言っても、やはりフランスとイギリスは様子が違う。
さしあたり、家の形がパリと違う。パリの方がどちらかというと機械的というか、無機質な感じだった。イギリスの方が親しみが持てる。

今度のホテルは、アールズコートというところにある。
どれくらい有名かなどはさっぱりわからないが、こないだパタリロを読んでいたらこの地名がでてきたので、まぁ普通に知られた街なのだろう。それなりに栄えてはいる。


アールズコートで降りて、ホテルを探す……のだが、このホテルがみつからない。地図があるのだが、明らかにこの地図はおかしい。そもそも、地名が違うし、道の伸びている数も全然違う通りの名前も存在しないし、目標物も書いてない。

30分ほど町をうろついた結果、この辺りには

1.インターネットカフェ
2.インド料理屋(二軒)
3.コンビニ

があることが判明した。
だが、残念ながらホテルが無いことまで判明してしまい、途方に暮れる。


それでも地道に探索を続け、地図とは無関係な場所も隈なく移動する。
すると……

あった。恐らく地図に無い場所に。

俺はいまだかつて、ここまでインチキ臭い地図を見たことはない。


オキ・ホテル・ケンジントンというこのホテル。
ガイドに寄れば、日本人に友好的らしい。
確かに、妙に日本人っぽいのイギリス人がニコニコしながら応対してくれる。
できれば、地図も友好的に作ってほしかった。地図は死ぬほど敵対的である。
鍵をもらい、いざ部屋の中へ。

今回、ベッドがなんとダブルベッド。
ダブルが一つに、シングルが一つ。
こいつは困った……のだが、結局4泊するので、とりあえず3日目までは一人一回ずつシングルベッドを使ってもいいことになった。まぁ、トリプルの部屋なんてそうそうないか。

だが、このホテルの問題点はむしろそんなところには無かったのである。

最大の問題は風呂。
バスタブが無くて、狭いスペースでシャワーしか浴びれないとか、そんなことはさほど問題ではない

その上さらに………臭いのだ。

トイレとくっついているのだが、明らかに………臭い。
早い話が、う○こ臭いのだ。
いくらイギリスだからって、風呂のニオイまでビッグベンってのはちょっと解せんだろう。

もちろん、現物がそこに鎮座ましているわけではないだろう。
ていうか、調べた

どこにも見つからないのにこのニオイは、ヤバイ

普通にトイレ行くのも厳しい。

誰よりも拒否反応を示す、かなめ。
動揺しているのかいつも通りなのか、突然発する謎の言葉。

かなめ「そこの、はがね取って

はがね……??
鋼って……なんだ?

困っていると、自分で俺の後ろにあったハンガーを持っていった。

かなめ「これだよ、これ……使えないなぁ。

………針金? 確かに針金でできたハンガーがあった。


「はりがね」「はがね」になったようだ。

だが、たとえ「針金とって」と言われても、俺はわからなかっただろう。
かなめ語、恐るべしである。

少しホテルで休憩した後、我々は早速市内観光へ向かった。
最初の目的地は、「エロス像」である。

 

次回、3.中華料理店へ続く