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第3章 ナイアガラ(3日目)

1.ヒルトンホテル

午前3時起床。
今日は、カナダのナイアガラに行くのだが、そのために「ヒルトンホテルに4時40分に集合」というとんでもない時間設定なのである。
とは言え、昨日は異常に寝るのが早かったので、ちっとも辛くはない。

ただ、昨日の昼以来何も食っておらず、やっぱりお腹がすいている。
で、朝風呂に入っているいながきを横目に、朝食を買いに行くことにした。

が、意外と店がやっていない。朝3時だから当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが。。
ホテルの部屋から見えたカフェがものすごく明るかったので、絶対に開いているだろうと思って行ってみたのだが、扉は開かなかった。

しかし、このままだとやっぱり朝飯を食いはぐれそうなので、ホテルの周辺をふらついていると、一軒発見。
ピザ屋?だろうか。街角の持ち帰り専用ファーストフードショップといった感じだ。

そこで、ターキーサンドとピザを一かけら注文。
よく見ると、ピザは二種類あるので注意が必要である。
二種類とは、「1ピース」と「1枚」である。
油断すると、朝食にピザ一枚丸ごと注文してしまいかねない。
それはきっと昨日のステーキより極悪だ。

なお、ターキーサンドはビッグとスモールの二種類があったので、スモールを頼んだのだが、普通のハンバーガーよりでかかった。さすがというか、もういちいちデカイ食い物にコメントを入れるのにも疲れた。


朝飯を食った後、ヒルトンホテルへ移動。
俺らの泊まっているホテルは中の下ぐらいなので、こういうツアーではあまり優遇されない。
どちらかというと冷遇の部類だ。
ヒルトンホテルは、泊まってるホテルからはタクシーに乗らないと厳しい距離にある。
バスで拾ってくれればいいのに。。

大体、ナイアガラに関しては何の説明もないのだ。
旅程表と一緒に送られてきた「ナイアガラオプショナルツアー」の紙には、「ヒルトンホテルの奥の出口付近に4時40分集合」としか書いていない。ツアーにかかる時間とか、ツアーの詳細とか、そもそも午前4時40分なんかにヒルトンホテルの奥の出口なんてどうやっていくのか。ありとあらゆる情報が欠落している。

とりあえず行ってみたら、やっぱり奥の出口は閉まっていた。
本当にやれやれだ。

仕方がないので、恐る恐る正面の入り口から入り、誰もいないホテルの中を奥の方まで進んでいく。
もちろん、こんな時間誰もいない。


さらに奥に行くのか・・・・・・?

などと思って深入りしていると、日本人の中年(というか、壮年?)夫婦が現れた。
おじさん 「ここでいいんですか?
俺 「多分そうだと思いますけど…


しばらく会話をしていたのだが、微妙にかみ合わない。
俺はこの人たちを、同じツアーに参加する客だと思っていたのだが、この人たちは俺らを「ツアー会社の人」だと思っていたらしい。

いや、違うから。。
むしろ我々は被害者です。

誰も来ないですねぇ、大丈夫なんですかねぇ、というような世間話をしていると、しばらくして、旅行会社の人が現れた。
頼むから、こういう情報の少ないツアーで、現地で人を待たせるんだったら、案内人は早く来いよ。。。

その後、数組のツアー客が集まって、出発。
なお、そのうちの客一人(大学生か、OLぐらいの女の人)が、ガイドにこんなことを言っていた。

「チップを置き忘れたら、バスタオルは変わってないし、ベッドメイクもされてないしで、本当にひどい目にあいましたよ」

その人は、このホテル(ヒルトン)に泊まっていたらしい。
日本の常識が通用しないのかもしれないが、チップを忘れたぐらいで、こんな大きなホテルの信用が一気にがた落ちになるぐらいのことになってしまうものなんだろうか。
チップ自体、ベッドメイクの担当者の収入のメインになっているのかもしれないが、お金が置いてなかったら何もしない、というのはホテルそのものの信用としてアリなのだろうか? ホテルは、ベッドメイク等の処理には一切関知しませんよ、ということなのだろうか。

そんなことを考えていたが、一つ学んだことは「チップを置き忘れてはならない」ということだ。
チップを置き忘れると、アメリカ人は豹変して報復に出るのだ。
しかし逆に言えば、「最終日にはチップを置き忘れてもかまわない」ということだ。
「構わない」というのがどういうことなのかは微妙だが。。


ただ、チップは感謝の気持ちを表すためのものと聞く。
初日にベッドがぐちゃぐちゃだったら問題外なので、ホテルに入った日にベッドが整っていることに対してはチップを払う必要はないはずだ。
ということは、二日目の朝にチップを置いていくのは、二日目にホテルに戻ってきて部屋がきちんと整理されているという事実に対しての対価に他ならない。つまり、ホテルに戻ってきたときに部屋が綺麗になっていることに対しての感謝の気持ちとしてのチップだ。
ということは、最終日ホテルを出る際には、部屋が整理されていることを期待する必要はない。もう戻ってこないんだし。
なら、最終日にチップを払う必要はないはずだ。

大体、「金を払わないならこちらのために何もしない」ということに欧米人がシビアだというならば、「こちらのために何もしないことに対して金は払わない」というシビアな態度をこちらも取っていいということだろう。

というわけで、最終日はチップを置いていかないことにした。
多少日本人の評判が悪くなるかもしれないが、評判を恐れていては言いたいことも言えないのだ。


さて、我々ツアー客はバスで空港に向かう。
向かった先はJFK空港。JET BLUEという航空会社で、飛行機の目的地はバッファロー空港。

実は、俺はこの飛行機でカナダに着くものだと思っていたのだが、どうやら違うらしい。
というのも、バッファロー空港というのも、ニューヨーク州に位置しているのだ。
飛行機で約一時間飛んでも、まだ同じ州にいる。やはりアメリカはでかい。


ところで、いながきはボディチェック(枠の中を通って、何かあるとピーとなるやつ)に100%引っかかる。
必ず引っかかって、念入りにチェックされる。
しかも、いながきは通過時に毎回靴を脱がされる。
よっぽど悪人に見えるのだろうか?

どうも、ベルトの金具で引っかかるようなのだが、俺は引っかからないしなぁ。。

2.ナイアガラの滝

まぁ、それはいいとして、朝8時頃にはバッファロー空港到着。
繰り返すが、まだニューヨークである。
カナダへはバッファロー空港からバスで向かう。

ナイアガラ川に沿って北上し、レインボーブリッジという橋を渡る。
どこかの国にも同じ名前の橋があるが、こっちが本場なのだろう。
この橋が、アメリカとカナダの国境になっているらしい。

国境を越えるとカナダ。ロシアについで、世界で2番目に広い国である。
一度バスを降ろされ、入国の手続きとしてパスポートにスタンプを押してもらい再度出発。
実際今回の旅ではカナダにはナイアガラだけ、しかも一泊もしないので、果たしてトップページの地図を塗りつぶしてもいいものかという抵抗もあったのだが、まぁパスポートにスタンプもついたからいいかと。

さて、このナイアガラ市には、本当にナイアガラの滝しかないらしい。
なので、ここでの滞在は「ナイアガラの滝」をどうやって見るか、それに尽きるのである。
上から見るか、横から見るか、正面から見るか、裏から見るか。
様々なパターンが用意されている。だが、結局滝。これだけだ。

冬になれば、ナイアガラが凍りつく。
今回は、滝つぼの側まで船で移動できるという、「霧の乙女号」に乗るのが目的だ。
この船は、湖が凍るまで、具体的には10月の下旬までしか運航しておらず、それがこの旅の出発日を決定付けた。
つまり、出発があと一週間でも遅れると、この船に乗れないのだ。


バスが滝に近づくにつれて、滝の方角に雲のような水しぶきが見える。
相当遠くから見ているのに、ありえない高さまで水しぶきが上っている。
もう少し滝に近づくと、雨も降っていないのに地面が濡れている。
それでも、滝本体はまだ遠く、一向に姿を見せない。
確実に、何やら巨大なものがそこに存在している。


バスは着々と水しぶきの本体へ向かう。そして……ナイアガラの滝が姿を現した。
遠くからだからあまり大きさはピンと来ないが、確実に近づいている。
すると、それまで曇っていた空が急に晴れ渡った。

言うまでもなく、俺の日ごろの行いがいいからに他ならない。
そういうと、俺は基本的に旅行に行ったときには雨に遭遇しない。
ヨーロッパ旅行時はヴェルサイユなど結構ひどい目にあったが、あれはザ・雨男であるかなめがいたからだ。かなめと宮崎に行ったときにも一時すごい雨に降られた。が、それ以外は基本的に晴れ。とは言え、かなめの雨パワーのほうがやや優勢なのだろうか。

そして、バスが滝の側に止まった。

一分間で、東京一年分の水が流れ落ちる巨大な滝。
確かにすごい。でかい。
思ったより音は大きくないが、下に行くとまた違うのだろう。

まず、滝の横に移動して、滝の全貌を見る。

冒頭にも書いたが、ナイアガラの滝は、アメリカ滝とカナダ滝の二種類がある。
アメリカ滝は上から見るとまっすぐな滝で、カナダ滝はより大きく、U字型に曲がっている。
ナイアガラの滝はアメリカとカナダの国境沿いにある。そのためアメリカからも見えるは見えるのだが、カナダ滝を正面から見られるカナダからの景色のほうがかなりいい。

ナイアガラとは、アメリカ原住民の言葉でで「雷鳴の轟く水」という意味らしい。
ついでに言うと、さっきのバッファロー空港のバッファローは、いわゆるバッファローマンの「水牛」ではなくフランス語で「すばらしい川」を意味する言葉なのだそうだ。

かつてネイティブ・アメリカンは、この雷神の怒りを収めるために滝つぼに少女たちを捧げた。
そして今でもいけにえとなった少女たちは、「霧の乙女」として滝を守ってくれているという。
それが、ナイアガラ名物「霧の乙女号(Maid of the Mist)」の由来だ。


3.霧の乙女号

いよいよ、その霧の乙女号に乗る。
チケットを買い、エレベーターを降りて、洞窟を進む。
洞窟の先で、青い合羽(ポンチョ?)をもらう。
合羽というよりは、ビニールのゴミ袋をかぶるような形だが。。

そのゴミ袋を着ていないと、それはもうえらいことになってしまうのだ。
何しろ、船が停泊している段階から、既に小雨が降っているような状態。
これで滝に近づいたら、もう豪雨だ。

ガイドのおばさんが、霧の乙女号に乗るコツを教えてくれた。

前提として、霧の乙女号はアメリカ滝を左手にカナダ滝の滝つぼに進んで行き、滝つぼ付近で静止した後「回れ左」をして戻ってくる。

まず、霧の乙女号は二階建てなのだが、一階か二階かは好みの問題となる。
一階はそれほど濡れず落ち着いて見られるが、二階には逃げ場がない。しかしその分、二階の方が迫力がある。

そして一階、二階いずれにしても、乗った後は次のようなコツがある。
まず、最初は船の左側に乗ること。
船の左側にはアメリカ滝があり、移動中にそれが見えるからだ。
右側には陸しかないので、あまり面白くない。

その上で、カナダ滝に近づいたら、今度は右側に移ること。
その時点では滝の右側はすいているし、その後船がUターンするので、またアメリカ滝が見えるからだ。


実際に乗ってみると、船の右側には綺麗な虹がかかっていたので、どっちも魅力はあった。
一応、ガイドに従って二階の左側に乗っていたが、アメリカ滝がよく見えて中々いい感じだ。
しばらくしてカナダ滝に近づくと、水しぶきが大雨のように降ってきて、ろくに前も見えない。
そのときがチャンスで、周りが大騒ぎしている間に逆側に移る。
これが本当にいい情報で、このタイミングは本当に右側に人が少ない。
で、船のへりに立ってカナダ滝を間近で見れるようになる。
しかも、船はカナダ滝のすぐ側で、左に旋回してバックするので、右側に立っていると滝の正面に立つことになる。
まぁ、その頃は既にスコールみたいな状態なので、右も左も分からないのだが。
合羽で目の上を隠して、ゴーグル代わりの眼鏡をかけていたので、一応ギリギリまで全貌を見ることはできた。
本当にゴーグルを持っていくといいかもしれない。


いやしかし、とにかくすごいわ。眼前の滝。

帰りも一応、さっきの側に虹が出ていた。こんなに間近に虹が見えたのは初めてかもしれない。
虹は、太陽光の反射で見えるので、自分の立ち位置も重要だ。
同じ場所に、いつも見えるとは限らない。自分の場所が変わっただけで、今見えてた虹も見えなくなる。
それを実感した。


さて、ゴミ袋(合羽)は使い捨てなので、返却しても持ち帰ってもいいらしいのだが、もって帰っても周りが濡れるだけなので、置いていくことにした。


4.アイスワイン


その後、シェラトンホテルで昼食。
バイキング形式だった。
料理の味は普通だったが、ホテルはフォールズビュー。
滝の全貌を、かなり高い位置から見ることができる。素晴らしい眺めだ。

ここで噂のアイスワインというのを飲んでみた。
アイスワインというのは、通常秋に収穫するワイン用の葡萄を冬になるまで放置しておいて、実が八割方凍ってしまった所で収穫し、圧搾して果汁を取り出してワインにするという方法で作られたワインだ。

これ、買うと高い。
今ヤフオクで見ていたが、大体200mlで5000円ぐらいというのが相場だ。
しかし、せっかくの名物なので、一杯15ドルと高かったが、飲んでみることにした。

来たのは、小さめのワイングラスに半分ほど入った黄色いワイン。
凝縮した白ワイン、といった感じだ。

飲んでみると、甘い。
味が濃くて甘い白ワインといった飲み口で、非常に飲みやすい。
でも、結構甘いのでそんなに大量に飲むような代物じゃないんだろうな。

その後、自由時間になったので、カジノに行く。
ホテルの側に官営のカジノがあるんだが、ガイドいわく「出ないことで有名」だそうだ。
よく考えると、結構海外に足を運んでいる割にはカジノに行った事がなかったので、これを機会に行ってみることにした。
社会勉強である。

入り口でパスポートを見せて、年齢確認。
その後、右手の甲にスタンプを押されて、入場する。

ナイアガラのカジノだけあって、中に滝が流れてたりして、なかなか風情のある雰囲気だ。
中にあるのはほとんどスロットマシーンで、時々対人のルーレットやブラックジャック、あとは何だかよくわからないギャンブルなどができるようになっている。何か、日本にあるちょっと大きめのゲームセンターみたいな感じもする。


3階建てだったのだが、最上階で見覚えのあるものが。。


モノポリーだ。モノポリーのスロットマシンがある。
まさか、こんなところでも出会えるとは。

初老の男性がメダルをつぎ込んでいたが、よくわからなかった。
ちょっとやってみたいな。。


と、一通り見学したら自由時間がなくなったので、バスに戻る。
ツアーはちょっと面倒だ。

バスはナイアガラの渦、ワールプールへ移動。
ナイアガラ川の折り返し地点にあり、進む流れと戻る流れが交差して、そこに渦が生まれる。
まぁ、見ても「ふーん」という感じだ。

それよりも、日本の鳴門の渦潮がすごいらしい。
ガイドが言うには。
次は鳴門の渦潮を見に行こうと思った。


その後、バスはお土産屋へ。
ツアーのお約束だ。
カナダのお土産は、とにかくメープルシロップだ。
楓の樹液を煮詰めて作ったメープルシロップは、ホットケーキにかける以外利用法をあまり知られていないが、噂ではカナダ人は何にでもメープルシロップをかけるらしい。本当だろうか?
せっかくなので、一番高い奴を買ってみた。家に帰って、極上ホットケーキを焼いてみよう。

その後、先ほど昼食を取ったホテルに戻り、自由時間となった。一時間。
付近はさすが観光地で、当然滝も見れるし、ゲーセンや売店などもたくさんある。
ガイドが「コーラ屋さんがある」という言葉を言い残して消えたのを聞いて、いながきが妙に「コーラ屋さんに行こう!」と乗り気だった。色んなコーラが売ってるんだろうか?

結構探したのだが「コーラ屋さん」は見つからない。
時々自販機を見つけて「これ…か?」などと言ってみるが、いくらなんでも自販機をコーラ屋さんとは言わないだろう。。
半分諦めかけてしばらくお土産屋エリアをうろつき、ホテル近辺まで戻ってきた頃に「コーラ屋さん」を発見した。
しかし、実際はコカコーラのオフィシャルショップであり、カウンターでコーラが飲める他、コカコーラグッズが売っているお店だった。何故か白熊のぬいぐるみが大量に売っていたが、全体的にたいした事は無かった。ちょっとがっかりだ。


5.モノポリー

その時点で残り30分ぐらい自由時間が残っていたので、さっきのカジノに行くことにした。
モノポリーのスロットにどうしても挑戦してみたかったのだ。

さっき来たときに右手の甲にスタンプを押されたのだが、恐らくこれは再入場をするための印なのだろう。
入り口で門番に誇らしげに右手を見せる。。。。

だが、通してくれない。

んんんんんん。違うのか?


さっきと同じように、またパスポートを見せた。すると、通してもらえた。

右手のスタンプ、意味無いじゃん。


メダルの交換機があったので、現金をメダルに替えてみることにする。
US$オンリーと書いてある。カナダなのに。。。
まぁ、いずれにしてもほとんど米ドルしか持っていないので、どちらかというと好都合なんだが。

しかし。。。。
20ドル紙幣がはじき返される。

おや、と思ってよく見ると、自販機には「100$のみ」と書いてある。
10000円以下はメダルがつかえないのか。。。。?
さすがに10000円は使えないなと半ば諦めていると、従業員のお姉さん登場。

メダルに交換して欲しい旨を伝えると、ちゃんと20ドルでも交換してくれた。
何か、交換時に英語で二択を迫られたがよく分からない。
トークンが何とかと言っていたのだが、多分このカジノでの通貨が二種類あるのだろう。

とりあえず、言葉がわからないので「コイン」とか言ったら、ちゃんとメダルをくれた。
何だかんだで分かってもらえるものだ。

紙に包まれたメダルの塊2本と、端数のメダルをもらった。
一枚25セントと書いてある。計算すると、80枚ってことか?しかし、数えてはいないがもっと多かった気がする。
もしかしたら、カナダドル換算なのかもしれない。

そのまま、わき目も振らずにモノポリースロットへ。
何しろ、時間が無いのだ。
ついにカジノ初体験なのである。

しかし。

さっぱりルールが分からない。

要するにスロットなので、メダルをいれて適当にボタンを押す。
しかし、全然揃わない。
大体、何がどう揃えば勝ちなのかがそもそも分からない。
分かったところでランダムに止まるので、戦略もへったくれもないのだが。
日本のパチンコ屋でスロットでもやっていれば違ったのかもしれないが、俺はパチンコ屋にはいかないのだ。

どんどんメダルが減っていくが、同時に時間も減っていく。
バラバラのメダルを使い果たし、一本目の紙も破り、二本目を破る頃、隣で同じスロットをやってるおばさんの手つきを見る。
よく分からないが、一度にたくさん賭けているようだ。

時間も無いし、俺もそういう作戦で行こうと思い、賭けられる最大の枚数、5枚ずつ賭けていく。
そうすると、さっきよりも当たり方が多少マシになった。
今までは入れたメダルが全て無駄になっていたのだが、それからは10枚入れれば1枚ぐらい返ってくるような確率になった。

って、大赤字じゃん。



やはり俺にはギャンブルの才能が無いのか。



そろそろメダルもなくなるなというタイミングで、突然画面にモノポリーおじさんが登場。

ん?

「コマを1つ選べ」と言っている。
画面には、モノポリーで使うコマが並んでいる。

選べって。。?


画面がタッチパネルになっているらしく、画面上の馬のコマに触れたら、それが選択された。


画面が切り替わって、普通のモノポリーのボードになった。
選んだ馬のコマが何の断りも無く先に進んでいく。

何だ一体。。。。。
止まったマスは。。共同基金。英語だと、community chest だったかな?


これは、モノポリーだと、お金をもらえたり払ったりすることが多いカードを引くマスだ。
で、当然カードを引くらしい。

引いたカードは、英語を読んでいないので分からないのだが、「×50」という数字だけが見えた。


ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ


次の瞬間、ものすごい勢いでメダルが出てきた。


「へ?」




どうやら、さっきまで賭けていた5枚の50倍で、250枚のメダルが出てきたらしい。
すごいよすごいよ大当たりだ。



というところで、自由時間も残り数分を切っていたので、ゲームはそこで終わりにすることにした。
メダル入れのコップみたいな入れ物がほぼ満杯になり、さぞ大勝したのだろうという感じだ。

換金所でメダルを渡すとすぐに換金してくれた。
最初はカナダドルだったが、もうすぐ離れるカナダのお金を持っていても仕方が無いので米ドルにしてもらう。
結果、54ドル

20ドルが54ドルということは、大体4000円ぐらい勝ったことになる。
そんなに大勝ってほどでもないが、さっきのアイスワイン代を差し引いても、かなりの浮きだ。
素晴らしい。モノポリーの神様が降りてきたとしか思えない。

その時点でもうバスの集合時間がかなり近づいていたので、急いで集合場所に戻る。
短かったが、もうカナダともお別れだ。
ちょっと国境付近で手間取りつつも、バッファロー空港には予定通り到着した。


前にも書いたが、いながきは必ず空港等のボディチェックで引っかかる。
いうまでも無く、バッファロー空港からJFK空港に戻る際も引っかかった。
何回か引っかかってから、どうもベルトの金具が怪しいと言う結論に至った。

「ベルトをはずすと、後でつけるのが面倒だ」と主張するいながきだが、毎回引っかかると5分から10分は無駄に時間をロスするので、毎回ベルトをはずしてもらうことにした。
いくら不器用なことで世界的に有名ないながきとは言え、ベルトをつけるのに10分はかからない。

今思うと、ベルトのバックルだけ外せなかったのだろうかという疑問が生じるのだが、どうなのだろうか。


6.ジキルハイド

さて、JFK空港からはまた車でホテルに送ってもらう。
しかし、「ホテル」といっても実はヒルトンホテルなのだ。我々が止まったホテルではなく、今朝4時40分に集合したホテル。
はっきり言って、我々のホテルからは相当遠い。

とは言え、今日の晩飯を食おうと思っていた店からは歩いてかなり近い場所だったので、それはそれでよしとする。
ちょっとお土産を持ち運ぶのが重いぐらいだ。


で、我々の目的地は「ジキルハイド」というレストラン(バー?)。
お化け屋敷のような外観の建物だ。
ここは、ホラー小説の古典「ジキル博士とハイド氏」をテーマにしたレストランで、色んなガイドブックに乗っているのだが、今日はたまたま早めの時間帯だったため、すぐに店に入ることができた。入ってしばらくするとものすごい人の量になったので、かなりいいタイミングだった。

ちなみにいうまでも無いが、いながきは「ジキル博士とハイド氏」に関しては何も知らない。

さて、この店の内容だが……あんまりここで具体的に説明しない方がいいのかもしれない。
それこそ、ドラマのオチをしゃべってしまうようなものだ。
大雑把に言えば、お化け屋敷っぽい(?)様々なギミック、ジキルハイドの映画、そしてジキル博士の登場など。色んな趣向が凝らされていて面白い。でも、英語が理解できればもっと面白いんだろうなと思った。

料理は二人で三品注文した。
・ステーキサンドイッチ
粉々のステーキ肉がのった、巨大なサンドイッチ。膨大な量のポテトもついてくる。
・サーモンソテー、リゾット添え
普通に美味しい。特にリゾットがかなり美味しい。中々のものだ。
・スパゲティジャンバラヤ
南米風の味付け? スパイシーなソースに絡めたスパゲティ。鶏肉がメインなのか。太目のパスタ。そしてビーフソーセージ。

全体的にものすごい量が出てきたので、二人で二皿で十分だった。後半つらかったし、実際残してしまった。。

なお、ドリンクは「エリクサー」というのを飲んでみた。
錬金術の魔法の薬だ。もちろんただのカクテルだが。
しかしこの「エリクサー」、10ドルもするのに、味はカキ氷のイチゴシロップ。。。
なお、いながきはジンジャーエールを飲んでいた。

とは言え、アメリカンサイズなのでドリンクも中々飲み終わらない。
何とか一杯飲み終えた頃には、もう料理に敗北宣言を出しかけていた頃だった。

が、空っぽのグラスでダラダラと料理と格闘していると、突然ウェイターが現れてグラスを持っていく。

ん? 下げられたのかな。。。


と思ったら、同じモノを入れて持ってきた。
つまり、、、、エリクサー

って、またカキ氷のイチゴかよ!

無論、いながきはジンジャーエールだ。

どうせ飲むなら他のにしたかったが、抗議するほどの英語力は無かった。
しかし、それにしてもこの追加分のドリンクの値段はどうなるんだろう?
別に注文したわけでもないし。。。


さて、クイズです。エリクサー二杯飲んだ俺は、どういう料金の請求をされたでしょうか?

1.お代わり分はサービスである。料金は一杯分でいい。
2.もちろん、一杯目も二杯目も料金は取る。金は二杯分払わされた。
3.二杯目は、半額扱い。料金は一杯半分請求された。



















ファイナルアンサー?













…………残念!!!








正解は、4の「エリクサー代は1セントも請求されなかった」でした。






何故?

訳分からん。まぁ、結果として得したから全然いいんだが。
ちなみに、ジンジャーエールは一杯分請求されていた。

その後、我々はタクシーに乗ってホテルに戻り、また泥のように眠った。
今日はまともな晩飯が食えてよかった。

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