やたら茶色い建物が目立つマドリード郊外の町並みを抜け、1時間半ほどバスに揺られて辿り着いたスペインの古都トレド。タホ川に三方を囲まれた要塞のような街は、全体が世界遺産である。
途中、バスの中から自然が作り出した絶壁に立つ古い町並みに目を奪われながら、「もし一日しかスペインにいられないなら、迷わずトレドを目指せ」の格言を思い出す。

▲トレド到着。遠くにアルカサルが見える
さて、トレドに着いて最初の感想は………
暑い!!
つうか熱い!!!
直射日光が強いのもあり、40℃ぐらいある。
なるほど…スペイン人がシエスタとか言い出す理由が分かってきたぞ。
トレドの街は丘の上にあり、歩いて登っていこうと思ったが速攻却下。
とりあえずタクシーを拾い、カテドラルに向かってもらう。
カテドラルはキリスト教の大聖堂のことで、どうやらスペインの大きめの都市には一つずつ置かれているようだ。
トレドは中世の当時からほとんど様子が変わっていないらしい。歴史のある石造りの建物が坂の多い小道に所狭しと並んでいる。実に雰囲気のある街だ。フランスのモンサンミッシェルにちょっと似てると思った。
しばらく走ると、大聖堂の前にタクシーが止まる。
タクシーの運ちゃんが「あれだ」と指を指した。

デカイな。。
これがスペインカトリックの総本山、トレドのカテドラルである。
早速中に…入ろうと思ったが、もう15時を過ぎている。まずは腹ごしらえだ。
ガイドブックにも載っていたカテドラル近くのレストランに入ると、下の階に案内された。
客は他に一組いた。
階段を下りたところにでっかい豚の脚が置かれていたのが印象的だった。
ハム好きなんだよね、この人たちは。
メニューを渡される。さて…何にしようかな。
えーと。。。
…………
はい?
ものすごい勢いで書いてあることが分からない。
正直、水(agua)とワイン(vino)以外は何も分からないと言っていい。
スペイン語はおろか、英和辞典すら忘れてしまったのは致命的だ。
持ってる電子辞書に、簡単なスペイン語会話帳た付いてたと思うんだが。。
こんな多機能ほとんど使わねぇよ、と言われ続けてやっと日の目を見るチャンスだったのに。。
ガイドブックのスペイン料理のページを眺め、なんとか単語の情報をつなぎ合わせて注文することにした。
イベリコ…のソテー…??
っぽい名前の料理を注文。自信はない。
が、2000円ぐらいするので大丈夫だろう。
後は…スープか。
スペインのスープは「ソパ」という。
ソパ・デ・カスティーリャ。カスティリア風スープ。
うん。これはガイドブックにも載っている。
これで行こう!
後は水かな。
注文を終えると、ゴツイ包丁を片手にさっきの豚の脚を一生懸命削り出すウェイター。
えーと。まさか…イベリコってそれ?
登場したのがこれである。

▲イベリコ豚…のハムほか各種
………こんなにハムばっかり食えるか!!
チーズとハムとソーセージをおかずに、添えられたパンとクラッカーと水を飲む。
やばい。ソテーでも何でもなかった。生ハムだ。訳が分からない。
味は濃厚で奥深く、決して悪くないんだが、全体的に水分が少なく固いのでアゴが疲れる。これは一人寂しく水だけで食べるシロモノではなかろう。
何種類か出てきてバリエーションはあるが、全部食ったら塩分過多で死んでしまうと思ったので、ほどほどに次のスープを出してもらう。

▲ソパ・デ・カスティーリャ
なるほど。これは初めて見た。
赤いスープ。パプリカだろうか?
唐辛子系の香りがするが辛いわけではないようだ。
中にはパンとハムが入っていて、ものすごく熱い。
後は…落とし卵。
チキンラーメンみたいだなぁ。スープ自体が相当熱いので、ちゃんと白身が固まっている。
今まで食べてきた何にも似ていない不思議な味がした。
旨いかどうかすらよく分からない。
ともあれ、一つ学習した。
イベリコはもういいや。と。
ちなみにこの2品と水で、日本円にして3000〜4000円の間ぐらいだったと思う。
前菜とスープだけ…だよね?