第8章 ストーンヘンジへの短くて長い旅(七日目)

1.ソールズベリとニュージーランド人
2.ストーンヘンジ
3.マグナ・カルタ

1.ソールズベリとニュージーランド

イギリス二日目。
今日は、世界遺産ストーンヘンジを見に行く予定だ。
宇宙人が立てたという説もあるし、もしかしたら宇宙人に会えるかもしれない。

まぁ、冷静に考えると会ったところでどうなるものでもないのだが。
ていうか、会えぬ。

イギリスの大して旨くもない朝食をだらだらと食い、外へ出ると
そういうと、ヨーロッパに来て全般に天気が良かったためしがない気がするのだが、どうか?

とはいえ、そんな愚痴を言っていても仕方が無いので、大人しく傘を差して駅まで歩く。
が、いながきが傘を持っていない。


余談だが、いながきの父親(みのるORみつる?)は、「イタリアの靴」を所持している。
と聞くと、一般的な人々の想像するパターンとしては、

@イタリアで買ってきた靴
Aイタリア製の靴


のどちらかであろう。
だが、みのるは違う。
みのるの「イタリアの靴」は、

Bイタリアに履いていった靴

なのである。
もちろん国産だ。
いや、もしかしたらそれは台湾製なのかもしれない。

それを「イタリアの靴」と呼んでいいのかどうかはかなり意見の分かれるところだ。
もちろん、私はあなたと同じ意見だ。

いながき家では違う意見らしいのだが。

もちろん、
マーガリンを人造バター、
バターを天然バター
と区別する文化とは相容れないのは十分承知の上なのだが。


さて、そんないながきは、ついにアールズコートの駅前で傘を手に入れる。
これこそ、誰もが疑いようのない「イギリスの傘」だ。
まさに紳士の傘であることは言うまでもない。
英国紳士の誇りがみなぎる様ではないか

所詮キオスクで買った折り畳み傘だが。


とはいえ、高い傘だろうが安い傘だろうが雨風をしのげるのが良い傘だ。これで準備が整った。


ストーンヘンジは、ロンドンから比較的はなれた「ソールズベリ」という町にある。
さすがに宇宙人もロンドンのど真ん中になぞの石細工は作らないようだ。
もちろん、当時からロンドンがあったのかどうかは知るところではないが。

というわけで、今日はロンドンを自由に旅できる一日乗車券(One day Travel)は買わず、一路ソールズベリへ向かう。
その間1時間半。完全に爆睡である。


もちろん1時間半もあれば様々なドラマが生まれたりもしてしかるべきなのだが、何しろ寝ていたので全く記憶がない。
気がつくとソールズベリについていた。


意気揚々として駅を出ようとした、その時。


本来なら、ソールズベリからストーンヘンジまでバスが出ているはずなのだ。
だが、駅に謎の看板が立っていた。

Due to Bad weather, Stone Henge is closed !

(悪天候のため、ストーンヘンジは閉鎖)



マジっすか!?



ここまで来て、ストーンヘンジが見れないなんて。
それはないっすよ、アニキ!!


だが、閉鎖とは言え、とにかくストーンヘンジ周辺まで行けば遠くから見れるはずだ。
そこで、インフォメーションセンターで何とかなるか聞いてみることにした。

すると、別のインフォメーションセンターで聞いてくれといわれた。
どうやら、全く可能性がゼロというわけではなさそうだ。
とは言え、英語には一抹どころか溢れんばかりの不安がある。


しかし、そこで……


2.ストーンヘンジへ続く