第6章 アンコール遺跡群 前編(6日目)

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今日は午前中はアンコール・ワットでのサンライズとバンテイアイ・スレイ遺跡観光、午後はアンコール大回りコース。

1.アンコールの夜明け

カンボジア二日目。
早朝5時にロビー集合。さすがに眠い。。
今日はアンコール・ワットに日の出を見に行くのである。

午前のガイドはカニヤさん。一年しか勉強してない割には日本語ペラペラの、どうやらインテリの女の人だ。
カニヤさんによると、一年間でこの3日間は、アンコールワットの中央塔の背後から太陽が昇るというレアな時期らしい。
幸い空も晴れているといい、ラッキーだ。

昨日と同じく、バスで遺跡群まで移動する。早朝にもかかわらず既にチェックポイントは営業中。
例のごとくアンコール・パスを見せ、遺跡のエリアへ入る。
辺りはまだ暗かったが、既にアンコール・ワットには人が集まってきているようだ。

寺院の入り口を抜けたところで、太陽が出きる時間帯まで自由時間になった。
俺は左右の池のエリアや正面から日の出を鑑賞した。

一方、SHOHEは…
いつも通り気が付くといなくなっていた。

そして日が昇る。。

■うっすらと光の見える夜明け前


■池に映るアンコール・ワット


■中央塔の背後から登る太陽

後でSHOHEに聞いたら一人でアンコール・ワットの建物内へ侵入していたらしい。

富士山に登ると富士山が見えなくなるのと同じで、アンコール・ワットの背後から登る日の出は、アンコールの外からじゃないと見えないと思うのだが。。
中には人がいなくて(そりゃそうだ)、静かでよかったと言っていた。
まぁ確かに昨日は日曜日だというのもあって中は混んでいたので、その気持ちは分からんでもないが。


2.バンテアイ・スレイ


実は今日の早起きに備えて風呂にも入らずに速攻で寝に入ったので、次の集合時間までに何とかシャワーを浴びたいところだ。
しかし時間が…集合まであと20分ぐらいしかない! 

その間に俺とIミツが入浴大作戦だ。SHOHEは既に諦めて、コーヒーなど入れている。

のんびりコーヒーをすするSHOHEを置き去りにし、相変わらず胃腸の調子が悪いIミツに先んじて速攻でシャワーから出ると…Iミツが行方不明。
どうも俺が出てくるのが待ちきれずに、ロビーのトイレに行ってたらしい。大丈夫だろうか。

結局10分ほど遅刻してしまったが、どうやらツアー自体に支障はなさそうだ。

我々を含めた数人のツアーは、バンテアイ・スレイというシェムリアップ郊外の古い遺跡へ向かう。
バスに揺られること約1時間。もちろん早起きな分爆睡状態である。

ところでカンボジアに着いた初日、中々寝付けないSHOHEが夜一人で星を見ていると、ホテルの老警備員に話しかけられたらしい。
日本語はもちろん、英語すら通じなかったようだが、ジェスチャーで何とか意思疎通を交わしたようだ。

その時に警備員に描いてもらったカンボジアの星座の絵がSHOHEのノートに残っている。(後日掲載予定)

日本というか西洋でいうオリオン座らしいのだが、警備員が描いた絵はどう見ても亀。
カンボジアではあの星座を亀に見立てているようだ。まぁオリオンに見立てる方がどうかしてる気もするが。

その亀の中に、鎌のようにも見える謎のマークがある。
SHOHEがガイドのカニヤさんにその絵を見せると、よく分からないが笑い出した。
その割に亀の星座に心当たりはないようだが、しばらくすると何かを思い出してくれた。
子供の時に聴いた童謡だか何かに、この星座の話が出てくるらしい。
ただ、鎌のようなものはカニヤさんには分かっているようだが、日本語で説明するのが難しいらしく、結局よく分からなかった。

そんなこんなでバンテアイ・スレイに到着。
10世紀に作られた菩提寺で、「女の砦」という意味らしい。



入り口の門には雷神インドラの細かいレリーフが彫られ、古いヒンドゥーの遺跡であることを物語る。インドラはシヴァやヴィシュヌらがインドの宗教の主役になる以前にインドの主神だった。

このバンテアイ・スレイの売りは、何と言ってもその素晴らしいレリーフだ。
美術品などに無知な人間にでも一目瞭然なぐらいの素晴らしい出来だ。
門が連なっているような構造をしていて、それぞれに微細な彫刻が彫られている。

■門が連なるバンテアイ・スレイ


赤い砂岩に深彫りされた緻密な彫刻の数々は、「アンコールの至宝」と呼ばれている。
確かに、今までアンコール・ワットやアンコール・トムで見たものとはちょっとモノが違う。

メインの場所からはちょっと離れたところにあり、広さも大したことはないのだが、アンコールに来たらバンテアイ・スレイには行っておくべきだ。


■右側が東洋のモナリザ…らしいが。。

さてここの彫刻の目玉は「東洋のモナリザ」と呼ばれるデヴァター(女神)を彫った作品なのだが…
東洋のモナリザ自体は立ち入り禁止の修復エリアの先にあったので近づけず、よく見れなかったのだ。
ちなみに、ある建物の扉の左右にある女神のレリーフのうち、右側のものだけが「東洋のモナリザ」と呼ばれているらしい。










3.ロリュオス遺跡群

本来午前の予定はここで終わりなのだが、実は昼食まで結構時間がある。
朝早かったからねぇ。
と言う訳で、ロリュオスという3つのヒンドゥー遺跡群を巡ることになった。
一人20ドル。多分、ここがガイドの稼ぎ時なのだろう。結構いい金額だ。

アンコール・ワットは12世紀のものだが、ロリュオス遺跡群はさらに古い9世紀のものらしい。
日本で言うとまだ平安時代のものということになり、アンコールの中でも最古の部類にはいる。

(1)ロレイ

ロリュオス最初の目的地はロレイ。インドラタタカという溜め池の中に作られていて、今では水も引いているが当時は船でないと近寄れない場所だったらしい。
後にも東メボンという似たような遺跡が出てくるが、アンコールにいくつかある「池の中に浮かぶ寺院」の元祖のようだ。


ロリュオス遺跡群もやっぱり遺跡管理当局アプサラの管理下にあるので、アンコール・パスを見せる必要がある。

ロレイの中には遺跡だけでなく活動中の仏教寺院があり、オレンジ色の僧服をまとった僧侶がたくさんいた。タイの坊さんと感じが似ている。
何故か僧侶たちは猿を飼っており、紐に繋がれながらも我々に対して非常に好戦的な動きをしていた。
ガイドのカニヤさんは「怖い怖い!」といいながら棒でつついたりして猿を挑発。何かのどかだ。



それにしても、猿って、本当にお尻ペンペンって人をバカにするジェスチャーするんだな。。

実際に坊さんが住んでいるということもあり、ここにはバナナやパパイヤ、ジャックフルーツなど、南国の果物の木がたくさんあった。

また、変な顔の仏像がいたので思わず写真を撮ってしまった。何だかビルマ仏っぽいなぁ。



(2)プリア・コー

続いてロリュオス2つめの遺跡はプリア・コー。ロリュオス遺跡群の中でも最も古いという。
元々シヴァ神の寺院だったらしく、シヴァの彫刻が数多く見つけられた。



奥には三神を祀る3基の祀堂が2層に連なり、合わせて6基建っている。
中心のひときわ大きな祀堂はシヴァ神を、左右はヴィシュヌ・ブラフマーを祀っており、奥にはそれぞれの妃神(パールヴァティ・ラクシュミー・サラスヴァティ)の3女神の祀堂となっている。

しかしこのあたりはまだまだ修復中のようだ。柵で囲われて、結構近寄れない場所が多い。

ちなみにプリア・コーとは「聖なる牛」という意味らしい。
アンコールにはプリアなんとかという遺跡が多いが、「聖なる」という意味らしい。とすると、コーは牛ってことは"cow"か…?

シヴァ神の乗る聖なる牛ナンディの像が、6基の祀堂を向いて佇んでいる。ちょっと可愛い。



(3)バコン

さて、ロリュオス最後の遺跡はバコン。ロリュオス最大の遺跡である。
神殿のように巨大なバコンはまるでピラミッドのようで、荘厳なイメージを受ける。高さはアンコール・ワットに匹敵するらしい。
それもそのはずで、バコンは当時の宇宙観を体現した構造になっているアンコール・ワットやアンコール・トムの原型となった寺院になるという。



古い割に、ここの獅子(狛犬みたいなもの)は保存状態が非常によく、尻尾が完全に残っているのが特徴なのだそうだ。他の場所の獅子のしっぽはどこかしら欠けていることが多い。

また、ヴィシュヌ神の誕生のシーンが彫られたレリーフもあった。ガイドはシヴァだと言っていたが、アナンタの上に寝そべってるのはヴィシュヌだよな。。多分。

というわけで、ロリュオス遺跡群を一通り回った。
結果的には20ドルの価値はあったと思う。


時刻はちょっとお昼の時間を回っていて、レストランに入りようやく昼食。



カンボジア風カレーは椰子の実の中に入っていて、中々雰囲気がある。
味だが、タイほど辛くなく、ココナッツの風味もあるが強くはない。
かなり日本人向きだと思う。
昨晩に引き続きまた豚肉の生姜焼きが出てきたが、結構一般的なのだろうか?生姜が強目で、美味しかった。
あとは、魚のスープ(パイナップル入り)と野菜炒め系が出てきた。








食後はホテルに戻り、1時間ほど昼寝。
朝が早かったか午前中はかなり効率的に回れたが、その分疲れた。

ツアーの構成が、ホテル+航空機+各種現地ツアーになっているようで、現地ツアーの組み合わせ自体で結構空き時間ができる。
とは言えその間に休憩があるのは特にアジアでは結構助かったりする。。
強制的に休みが入るので、常に元気に行動できるのだ。

ちなみに一緒になった一人旅の男性は、その間を利用して地雷博物館に行ったようだ。元気だなぁ。


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