第4章 ウィークエンドマーケット(4日目)

第3章 アユタヤとムエタイへ  TOPへ  第5章 アンコール・ワットへ


今日は午前中はバンコクの自由行動。夕方の飛行機でカンボジアの遺跡の街・シェムリアップに飛ぶ。

1.黄金像

タイ三日目。

代わり映えのしない朝食を食い、外に出る。
さすがに雨季なので雨がぽつぽつ降っているが、たまには仕方あるまい。

今日は15時半にホテルにお迎えが来ると言うことなので、昼過ぎまで観光だ。
その後カンボジアに向かうことになる。

まずは、ガイドブックに載っていたホテル近くのワット・トライミットという黄金仏寺院へ向かう。
Iミツに地図を渡して自信満々に向かった先の道は間違っていたが、間違った先でタイの民家の前を通ることができた。
特にこれと言って感想はないが。

ワットトライミットは入り口の大きな門が閉まっていて「本当にここなのだろうか?」という疑問がよぎったが、向こうから来た日本人観光客が脇の小門から入っていったのでついて行ってみたらちゃんと入れた。

入場券を買って入った奥にはお目当てのお堂があって、中には本当に金で出来た仏像が収められている。
高さ3.3m、重さ5.5tに及ぶ巨大な黄金仏。



その場のSHOHEの概算では金の値段だけで100億円ぐらいだったが、後で調べたら実は金の相場は思ったより変動していることが判明。今なら50億ぐらいだが、それだけに作られた当時の価値はちょっと計り知れない。

まさにまばゆいほどの輝きを持つこの仏像には面白いエピソードがある。発見当初はこの仏像、しっくいで覆われてバンコクの廃寺にほっぽかれていたんだそうだ。

で、たまたま引っ越しか何かでこの仏像を移動する機会があったのだが、あまりの重さに誤って落っことしまった。すると表面が割れて中からこんなんが出てきたらしい。そりゃあ驚きだろうよ。

ちなみに作られたのはスコータイ朝時代、しっくいが塗られたのはアユタヤ朝時代で発見されたのは今世紀。身をやつしてタイの歴史を駆け抜けた仏像なのである。







2.ウィークエンドマーケット

一通りワット・トライミットを見た後、ファランポーンの駅まで戻る。次はIミツの主張で、ウィークエンドマーケットに行くことにした。
ここはその名の通り土日しかやっていないらしく、たまたま土曜日に自由時間が重なった我々としては天の配剤。

地下鉄で北の方に位置するチャトチャック駅まで移動し、地上へ。。

どよーーん。

適当に歩いたら道を間違えた上に雨まで降ってきたので、おとなしく人の流れに従うと露天がたくさん出ているエリアに出た。
しかしこんな景色は今までもしょっちゅう見ている。
まぁ、こんなもんかなと思いながら、道の脇にある店の軒下をくぐる。

すると…

そこには、たくさんの小さな店が軒を連ねるエリアがあった。どうやらこの一帯がウィークエンドマーケットらしい。
我々は45分後にチャトチャック駅集合と決めて、自由行動にした。
ちなみに時計を持っているのは俺だけだ。

腕時計屋でなにやら物色を始めたSHOHEを尻目に、仏像などを眺める俺。フッとどこかへ消えたIミツ。トイレだろうか。

最初、俺はこのマーケットを舐めていた。

あまりにごちゃごちゃしすぎて、一度に見えるエリアは大して広くない。
雑貨や何やらが売っている現地人御用達の市場なんだろう、ぐらいに思っていた。

だがその景色が…どこまでも続くのである。
大迷宮という表現がぴったりだ。

マーケットは大きくジャンルごとにいくつかのエリアに区切られ、食料品から衣料、インテリア、生活雑貨、はてはペットまで揃わない物はない。偽物の時計は色々売ってるし、カブトムシや熱帯魚も色々いる。



問題はその店舗数で、1000や2000じゃ全然効かない。一つ一つの店は小さいが、広大な敷地内にちょうどバウムクーヘンのように幾重にも重なった店舗群がぐるりとマーケットを形成している。あっという間に自分がいる場所が分からなくなる。

幸い俺の持っていたガイドブックには地図が載っていたのだが…何しろ自分のいるところがすぐ分からなくなる。
というか、ガイドブックが出てから2年の間にさらにマーケットは拡大していたのだ。

後で確認したら、2年前の時点で店舗数8000。今や5桁の世界かも知れない。自称世界一も頷ける。歩くだけで力尽きそうだ。
一日歩いていても飽きない気はするが、何にしてもこの街はエネルギーあふれすぎていて、どんどん吸い取られていく感じがする。
好奇心よりも体力が先に尽きてしまう。ここはもっと時間のあるときにゆっくり見て回ってもいいなと思った。

途中でうろうろしているIミツを発見し、集合時間まで一緒に行動したが、SHOHEは本当にどこかに行ってしまった。
市場を適当に歩いていると駅が見えたので、これでギリギリまでこの辺にいれるなと思って甘く見ていたら…隣の駅だった。広すぎる。。

結局遅刻王SHOHEを15分も待たせてしまったが、それどころかSHOHEは時間を間違えてさらに15分早く着いていたらしい。悪いことしたな。


3.スパイスマーケット

昼飯は豪華に行こうと、ガイドブックから独断と偏見で「ザ・スパイスマーケット」というタイ料理店を選んだ。場所はサイアムスクエアというところらしい。
とりあえず地下鉄で比較的近いシーロム駅に移動。

ガイドブックには要予約と書いてあったので、英語の苦手なSHOHEが地下鉄の公衆電話から果敢に予約チャレンジだ。

何を言うかと思ったら、電話口で「日本語のしゃべれる人を出してください」である。さすがだ。
しかし結局日本語のしゃべれる人は今出られないらしく、英語で予約を取っていた。やるじゃないか。

シーロムからはタクシーだ。拾ったタクシーは珍しく女性運転手だったが、何故かメータータクシーではなく交渉制。気づいた頃にはもう遅い。
ちょっとボられた気もするが、数十円のことでうだうだ言うなら時間を大切にしたい。と言う考えが既にカモなんだろうな。

お目当てのタイ料理店はフォーシーズンホテルにあった。
ガイドブックにはリージェントホテルとあり、タクシーの運転手も「そこだ」と言うようなそぶりだったが、入り口にはどう見てもフォーシーズンホテルと書いてある。ガイドブックの写真と見比べてもここに間違いなさそうだが。。

これは帰国して知ったのだが、いつの間にかフォーシーズンに買い取られていたようだ。
繰り返すが…ガイドブックは最新の物を使うべきだ。いやマジで。

それにしても…やばい。超高級ホテルだ。もうロビーからして場違いオーラが漂っている。
手持ちのガイドにはホテルのランクがついていて、
我々の泊まっていたホテルは「経済的」ホテル。
その上が「中級」、
その上が「準高級」、
さらに「高級」があって
最高クラスの「豪華」がこのホテルだ。もはや神と虫けらの差。ヤムチャとフリーザ様ぐらい違う。

まぁそれはいい。今はつかの間のリッチ気分を味わおう。

ホテルの建物に隣接する形で、綺麗に整えられた庭園を抜けた場所にザ・スパイスマーケットはあった。
が、中にはいるとそれほど肩肘張った感じの雰囲気ではない。一流店はあまり飾らなくても一流なのだ。
というか、時間がちょっとずれていたので客が少なかったからのんびりした雰囲気だったのかも知れない。

せっかくなので色々注文した。
メニューは日本語の物があったので、下に書く料理もそのままだ。


・さつま揚げ
日本のさつま揚げと似てるけど、タイ風のたれをつけて食べる。

・カニ春巻き
 これは普通に美味しい。カニ肉がたくさん入った春巻きだ。

・川エビのドライカレー
 かなりのヒット。川エビでイメージする物とは違う、伊勢エビみたいなでかいのが2尾来た。タイ風の甘辛いのカレーで炒めたエビ料理。これうまいわ。

・トムヤムクン
 高級店のトムヤムクンがどんな物か試したかったので注文。味付けは上品で、エビも凄く美味しい。トムヤムクン嫌いのIミツが普通に飲んでいた。

・レッドカレー
 まろやかでコクのある、上品な味付けのレッドカレー。辛さはそうでもないが、旨い。

・カニの甲羅揚げ
 カニ春巻きに味は似ているが、殻ごと食えるカニの甲羅揚げ。美味。

・タイ式デザート
 これだけハズレ。まずくはないのだが、ひたすらに甘い。ハーブも色々使ってあり、見た目も可愛い感じで面白いは面白いんだけど日本人の舌には合わなそうだ。

・メナム
 タイに伝統的に伝わるお酒らしい。蒸留酒で、梅酒のような香りがするが、味は違う。何と原料は米らしい。米で蒸留酒を造ると米焼酎になると思ったのだが、いろいろ作れるもんだと感心した。


それにしても…味は値段に比例するんだろうか。
多分旅行中で一番旨い飯だったが、料金も一人4000円ぐらい。
ただ、日本で同じ物を食おうとすると…もっとするんだろうなぁ。酒も飲んだし。


4.雷雨

実は結構時間が押していて、15時半集合なのにもう15時を回っている。普通に帰ると間に合わない。
ホテルまでタクシーを使うと多分渋滞に引っかかるので、うまく地下鉄を駆使して戻ることにした。
豪華ホテルじゃないけど、所詮経済的ホテルだけど、ファランポーン駅のそばで本当に助かった!

それでも10分ほど遅刻してホテルに着くと、当然送迎のガイドは既にホテルにいた。
急いで荷物を回収してバスに乗り込み、空港へ移動する。

空港税500バーツを取られ、出国審査へ。
途中、SHOHEが水を買っていたのだが、なんと500mlのエビアンが80バーツ。日本円にして240円!
何故物価が安いはずのタイで水が240円もするのだ。。
ドンムアン空港の物価に驚異を抱きつつ、ゲートを出た我々を待っていたのは…

プロペラ機…!


一列4人がけの、新幹線より小さな飛行機だ。こんなの本当にカンボジアまで飛ぶんだろうか。
珍しいので、通る人通る人写真を撮っていた。

さて飛行機に乗ると、美人スッチーがいたのはいいとして、一つ後ろの席にやけに大声で笑うおっちゃんが座っていた。
カンボジア人なのだが、何とこのおっちゃんノーベル平和賞を受賞したという。
ノーベル賞って…ホントかよ。。

空港に着いてから気づいたのだが、このおっちゃん足がなかった。地雷でやられたらしい。
ノーベル賞は眉唾だったのだが、実際検索してみると……確かにこの人だ。同じ顔だ。

トゥン・チャンナレットさんというらしい。一緒に写真撮っておけばよかった。

一説によれば、カンボジアの地雷を全て撤去するにはあと100年はかかるという。
地雷の国という不名誉なニックネームで呼ばれることのあるカンボジアだが、現実を目にするとやはり痛々しい。
観光地は重点的に撤去されてはいる物の、まだまだこの国は地雷と戦い続けていかなければならないのだ。
水と安全はタダだと思っている、そう思える日本人がいかに幸せかと実感する。 

思わぬ出会いを経て、よく覚えてないがまずい機内食を食い終わった頃(Iミツはもうお腹が大変なことになっていて食わなかった)、飛行機は着陸態勢へ入った。

時ならぬ雷雨で、飛行機の外はとんでもないことになっている。ちょっと身の危険を感じるぐらいものすごい雷光だ。もう延々と光りっぱなし。
まぁ、飛行機が雷に打たれて落ちたという話は聞いたことがないが。。聞いたことがあったら本当に怖かっただろう。

雷雲の中を突き抜け、貧相なプロペラ機はやっとカンボジアはシェムリアップ空港へ到着した。


5.そしてカンボジア

シェムリアップ空港は異常に小さかった。
何しろガイドブックには「荷物を回すターンテーブルが存在しない」とまでかかれていたのだが、さすがに最近になってできたようだ。
しかし問題は…そのレーンの半分が空港の外に出ていること。
ぐるぐると同じ場所を…つまり激しい雷雨の空港の外側も含めて回り続けているのだ。おーーい。。

実はカンボジアのビザはカンボジアの空港でとれるのだが、我々は高い金払って日本で取得済みだった。
そのため、入国審査も一番乗り。荷物もほとんどぬれず、かなり快適にカンボジアにはいることができた。
繰り返すが、ビザは高かった。。
まさか、こんなにほとんどの人が現地でビザをとるとは予想もしなかったよ兄さん。


外に出ると、スンリーさんというやたらと腰の低いカンボジア人のガイドが待っていた。
親切設計で、傘までかしてくれる。雨季だからか、バスには傘が常備されている。サービスいいね。JHC。

実はタイのガイドは日本語にかなり不安があったのだが、カンボジアのガイドは日本語レベルがかなり高い。
何が違うのだろうか。

旅行会社の都合で、結構いいホテルに泊まることになった。我々が泊まったのはアンコール・ホテル。
国道6号沿いのホテルで、この道は片方はプノンペンへ、もう片方はタイにつながっているそうだ。

高級ホテルとガイドブックに書いてあるだけあって、部屋には広いベッドが3つ。
今までエキストラベッドをジャンケンで使い分けていた我々にとって、これは非常に嬉しい。
高級ホテルなのに壁にヤモリがいたのには驚いたが。

あまりお腹はすいてなかったのだが、遅い到着だったのでレストランがもうすぐ閉まってしまう。

最後の客として、ホテルのレストランへ。カンボジア最初の食事だ。

骨付きポークチャップなど、ちょっとフランス料理っぽい物が出てきたが、このスープは…
ヌードル入りスープと書いてあるが。
これはどう見てもカレーうどんだ。それ以外の何モノでもない。かすかにココナッツの味がするカレーうどん。
でも機内食食わなきゃよかった。。お腹が厳しい。



カンボジアにいて感じたのだが、ここの料理は予想外に日本人の舌に合う。タイ料理よりも全然日本人向けだ。
個人的には不本意だが、あまり辛くないし。これならIミツも復活するかもしれない。

とりあえずそういった感想を抱きながら、明日のアンコール・ワットツアーに備えて床につく3人だった。


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