第6章 黄金の輪 セルギエフ・パッサード TOPへ  第8章 サンクトペテルブルグ ピョートル宮殿

第7章 サンクトペテルブルグ エルミタージュと琥珀の間

【1】 エルミタージュ美術館

サンクトペテルブルグの観光一日目。

サンクトペテルブルグは早くから西洋に開かれていたので、モスクワよりはどちらかというとパリなんかに雰囲気が似ているかも知れない。近代的で明るく、北にある割にそんなに寒くない。

モスクワ以前の首都で、ピョートル大帝がここに首都を置いたことからサンクト・ペテルブルグ(聖ピョートルの街)と名付けられた。その後レーニンの名を取ってレニングラードと呼ばれるようになり、今またその名はサンクトペテルブルグに戻ったという経緯がある。

【コラム】 ペテルブルグ?ペテルブルク?

ところで、サンクトペテルブルグの綴りは"ПЕТЕРБУРГ"である。

俺はずっと「ペテルブルク」だと思ってたんだが、現地ガイドももらった資料にもみんな「ペテルブルグ」というのでああ、間違ってたんだなと。
これをアルファベットにすると"PETERBURG"なので確かにペテルブルグだと思うんだが、検索してみると「ペテルブル」も「ペテルブル」もほぼ同数出てくる。しかも、ペテルブルクの方には在サンクトブルク日本国領事館とかウィキペディアなど、ちょっと信憑性のありそうな組織が満載だ。一方で、現地で買ったガイドブックには「ペテルブルグ」と表記されている。

とは言えもうペテルブルグと書いてきてしまったので、ここはペテルブルグで通そう。



▲プリバルティスカヤホテル。見えている部分は一部に過ぎない。左にチラッと映っている建物もかなり大きいのだが。

さてこのプリバルティスカヤホテルはとにかくデカい。

朝食はバイキングだったが、これがもう、とにかく広い。
客室が1200あるってことは、当然宿泊客を入れ込むレストランもそれだけのサイズが必要なワケで、何しろ見渡せないぐらい広い。体育館かと言うぐらい広い。
料理が置いてあるエリアも複数箇所に分かれていて、多種多様な人種の人間がひしめき合っている。
うっかりここで待ち合わせなんかしても絶対出会えないだろう。

料理の質自体はモスクワで泊まったホテルには及ばないが、種類は豊富だった。
ところでロシアのソーセージはイマイチだがベーコンは絶品。

そんな訳で腹もふくらみ、9時集合で観光へ向かう。

最初の目的地はサンクトペテルブルグのハイライト、エルミタージュ美術館
これで事実上「世界四大美術館」を全て制覇したことになる。

ちなみに世界四大美術館とは、
ルーブル美術館(フランス・パリ)
エルミタージュ美術館(ロシア・サンクトペテルブルグ)
メトロポリタン美術館(アメリカ・ニューヨーク)
大英博物館(イギリス・ロンドン)or 故宮博物院(台湾・台北)

三大美術館になると、大英・故宮を抜いた上三つになる。

ウィキペディアによれば
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%89%E5%A4%A7%E4%B8%80%E8%A6%A7

知らぬ間に世界三大秘宝なんてのも制覇しているらしい。
ツタンカーメンの黄金のマスク(エジプト・カイロ博物館)
ミロのヴィーナス(フランス・ルーブル美術館)
モナリザ(フランス・ルーブル美術館)


ところで、世界三大サーカスに「木下大サーカス」が入っているのにはビックリだ。


話を戻して、エルミタージュ美術館へ。
頂上にギリシャ風の彫刻が立ち並ぶ、緑色の美しいこの美術館。エルミタージュとは「隠れ家」を意味し、元々は歴代ツァーリ(ロシア皇帝)の冬の宮殿と呼ばれた建築物で、とにかく建物自体が美麗。



中央に天使の塔がそびえる宮殿広場に乗り付けた我々は、開館前から一番乗りで並ぶことになった。
入口で、日本人観光客目当てのトランペット奏者が君が代やら何やら吹いていた。それから曲名は知らないが、「熱血高校ドッジボール部」のソ連ステージで流れている曲も演奏されていた。ちょっと懐かしかったが、我ながら懐かしさを感じるポイントがずれている。



10時頃開館し、ツアーなので効率よく中を巡る。ちょっとゆっくり観たいとか、あっちも観てみたいとかいう甘えは許されない。
他の美術館との大きな違いは、やはり内装の豪華さだろう。何しろ皇帝が住んでいたのだから、何から何までゴージャスだ。玉座の間や、朝昼晩をそれぞれ鶏・孔雀・梟の3種類で表現した黄金の鳥の時計など、置いてある物も豪華絢爛。

▼どこもかしこも美麗な内装 ▼玉座

▲これも玉座

▲ダヴィンチの聖母子画
▲有名な黄金の鶏


▲部屋中が美しい絵で埋められる



女帝エカチェリーナII世が西欧から買い集めたコレクションを元に、エルミタージュは美術館として立ち上がったらしい。

古代ギリシア・エジプトの彫刻からラファエロやミケランジェロ、レオナルド・ダヴィンチなどルネッサンス時代の芸術家の作品、さらには現代美術まで、幅広い。

一通り回り、印象派の絵画のフロアで自由時間になった。
ルノワール、マネ、モネ、セザンヌからピカソ、マチスまで一流の画家による作品が並ぶ。

マチスとゴッホは何がスゴイのかよく分からない。
ピカソは、同じような物をオリジナルで作れるかと言われても絶対作れないのでやっぱり凄いんだと思う。


そんなこんなで美術館内で軽食が取れる場所があるので、そこでランチタイム。



揚げていないピロシキや、ピザなどが出てきた。
「ロシアではピロシキは揚げない」という話も聞くが、多分両方あるんだろう。
後は…夢に出てきそうな例のサラダ。

ツボルフというビールが生ビールで出てきて美味しかったのだが、180Rも取られてしまった。
日本円で700〜800円ぐらいだろうか。ロシアビールという訳ではないようだが。

軽く買い物をした後(Japanese Fashonという、日本の何時代かよく分からない衣類を紹介した塗り絵みたいな本を購入)、次の目的地・エカチェリーナ宮殿へ向かう。


【2】 エカチェリーナ宮殿


ビールを飲んでいい感じに酔っぱらったので、バスの中で爆睡すること80分。
添乗員が持ってきたダーク・ダックスの「日本語で歌うロシア民謡」みたいなCDがかかっていたが、爆睡していたのでよく分からない。トロイカがかかっていたのは覚えているんだが。。

我々はペテルブルグの郊外、ツァールスコエ・セロー(皇帝村)にあるエカチェリーナ宮殿へ到着した。青く輝く女帝エカチェリーナの離宮はこれまた絢爛豪華で壮麗。



見学者は入口で黒いビニールの袋を靴の上から履かされる。つまり土足禁止というわけだ。いい感じに滑るのでちょっと楽しいが、油断してるとこけそうになるのでやっぱり危なっかしい。

内部は広間の他、小さな部屋がいくつも連なったような構成。内装もさすがに豪華で、至る所に金色に輝く微細な彫刻が施されている。壁にはこれまた黄金に縁取られた額に飾られた宗教画・肖像画が惜しげもなくかけられ、上を見上げれば巨大な天井画。まさに皇帝の居城だ。


▲絢爛豪華な大広間

▲ロシアンコスプレイヤー?こういう商売です

▲こんな感じの小部屋もある


そしてエカチェリーナ宮殿のハイライトは何と言っても琥珀の間
壁面が全て琥珀で埋め尽くされているという、贅を尽くしも尽くしたりという何とも凄まじい部屋である。

この部屋の琥珀は第二次世界大戦で全て略奪されてしまっていたのだが、2003年にサンクトペテルブルグの建都300周年を記念して復活し、一般市民に公開された。ちょっと前までは写真撮影も可能だったらしいのだが、現在は禁止されている。

この部屋に使われている10万に及ぶ琥珀の総重量は6トン、総費用は200億円に上ったという。琥珀の間の復旧には、大量の琥珀をびっしり隙間無くしきつめるための職人の養成に始まったという。大国の面目躍如と言うところだ。



▲宮殿の前に広がる泉



【3】 高級レストラン

さて琥珀に圧倒された後は夕食。今日は今回の旅で最も豪華な食事となる。
レストランの格も違う。その名も貴族の巣グラスワインも11ドルだ

テーブルにはちゃんと花(造花だが)も生けられて、タダモノじゃないっぷりを演出している。
料理の内容は・・・

・孔雀肉のペリメニ ラズベリーソース添え
・鱒のアーモンド蒸し
・アップルベリーケーキ

▼これが噂の孔雀のペリメニ

▲ベリーベリーケーキ

▲もうコレもんですわ(意味不明)
▼で、出てきたのが蒸し鱒



孔雀の肉というのは初めて食べた。西洋のフルーツソースというのはどうかと思っていたんだが、ラズベリーの甘いソースに負けない強い味の肉だった。これは旨い。

メインの鱒も、ちゃんとドーム型のフタ(名前は知らない)がついてきて、一気に開けるような感じで、さすが高めのツアーだけのことはある。

デザートは…ちょっと甘過ぎかな。。
総じて美味しゅうございました。


食後、ホテルに戻る途中で、再度現地ガイドに「ホテルの隣」にあるというスーパーの場所を教えてもらう。
昨日一回りしても見つからなかったスーパーマーケットの場所がついに明らかに…っ!

「ホテルを出て大通りを左に進んで、まっすぐ行ったところ。。10分ぐらいデスね」

……徒歩10分は普通「ホテルの隣」とは言わないんだよ日本人は。。


一度ホテルに戻って仕切り直し。両替でルーブルを増やしてスーパーへ向かうことにした。
ここは本当に現地の人々が使っているスーパーで、生活感が溢れている。
何と24時間営業で野菜・果物類から肉類、缶詰、お菓子、日用品まで日本のスーパーと大して変わらない。携帯電話なんかも売っていた。


ウォッカとおつまみを購入するが、缶切りはやっぱり見つからなかった。
包丁まで売っているというのに。

キャビアなんかも売ってたんだが、缶切りもないのに買っても仕方がないので諦めた。
まずは昨日買ったイクラを何とかしなければ。。

買い物袋は有料で、別途レジで購入する。値段は3P。
スーパーの前で茹でとうもろこしを売っていたので、買ってみた。ロシア人にしては珍しく愛想の良いお姉さんが売ってくれたが……味はイマイチだった。

後はホテルに戻ってウォッカで即死して沈没。


第6章 黄金の輪 セルギエフ・パッサード TOPへ  第8章 サンクトペテルブルグ ピョートル宮殿