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第6章 黄金の輪3 セルギエフ・パッサード

【1】 セルギエフ・パッサード

今日は基本的に一日中食べてばっかりの日だった。

スズダリのホテルで昨日と同じ朝食を食い、バスに乗り込む。
最後尾は席が広いので落ち着く。別名番長席。
基本的に自由席なのだが、既得権でいつの間にか我々の専用席になっていた。

昨日に引き続き、バスに揺られて今日はセルギエフ・パサードという街へ。
セルギエフ・パサードはマトリョーシカの産地としても知られる。
ネット通販でマトリョーシカを売ってるところもあるが、そこにもセルギエフ・パサードのマトリョーシカ職人の話が書いてあった。

黄金の輪で言うとスズダリよりも西で、夕方にはモスクワに戻ってサンクトペテルブルグに移動するため、少しずつモスクワに近づいていく感じになる。セルギエフ・パサードは黄金の輪の中でもモスクワに近く、距離にして70kmぐらいだそうだ。

途中、ガイドさんにソ連崩壊前後の生活の変化について聞いてみたのだが、彼女自体裕福な家庭に育っているので、あまり一般的な話でもなかったように思える。

途中、ポクロフスキープレアニクというお菓子のお店に寄る。マトリョーシカやクマなど、大きさも形もバリエーションに富んでいる、やけに日持ちのする(買ったのは2005年だが、2009年まで持つらしい。。ホントか?)茶色くて固いケーキで、クルミなんかが入っていた。試食してみたら結構おいしかったので、一つ買ってみた。19P(80〜90円?)。中々お買い得な感じだ。

4時間かけてセルギエフ・パサードに着いたらすぐに昼食。
やけに広いレストランの2階で食事。夏休みなのか、小さな子が給仕を手伝っていた。

▲シチー ▲壺焼き


・サラダ(まだまだ続く、味のないキュウリとトマトのサラダ)
・シチー(ロールキャベツのような味のスープ。トマト風味で、サワークリームが使ってある)
・壺焼き(パイ包みはなし。ライスの上に鶏肉が載っていた)
・デザート(最近よく見かけるクレープwithハチミツ)

食後、最初の観光はトロイツェ・セルギエフ大修道院
14世紀に聖セルギウスが開いたという修道院で、三位一体大聖堂というのがある。



無論言うまでもなくねぎ坊主の寺院だが、中央にキリストを表す黄金のねぎ坊主、その周りに四人の預言者を表す星入りの青いねぎ坊主が並ぶ姿は壮麗だ。

ここへ来て、物乞いが増えてきた。
何か体当たりまで仕掛けてくる子供もいて、中々本格派だ。

ツアーが一緒だったおばちゃんが「図々しい」と怒っていたが、彼らも生きる為だから何でもやる。
子供が物乞いをしなければ食べていけない地域などない豊かな国から物見遊山で来ている人間に、そこまで言われる筋合いはないと思う。
少なくともインドなんかに比べればここの物乞いは甘いというか諦めが早いというか。それは観光客目当ての物売りにも言えることなんだが。

さてこのセルギエフ修道院だが、ロシア名物のカメラ券に今回は何と賛美歌のCDがついてくる
これはお得だ!

ということで、最初はみんな乗り気じゃなかったんだが、CD付きと聞くとみんなカメラ券購入になびいてしまった。
しかし入ってみると分かるんだが、ここに関しては写真を撮る時にいちいちカメラ券を確認されないので、カメラ券だけだったら本当に買う価値はなさそうではある。

ここでは修道院で修行中?の修道士がガイドをしてくれた。


中には「奇跡の水」なんてのが流れ出ていて、どこか(ガンジス川)で聞いたような話だが「腐らない」んだそうだ。ちょっと飲んでみたが別段どうということもない。中にはペットボトルも売っていて、持ち帰ることもできる。

寺院の中には輝くイコンがたくさんあった。独特のタッチはやはりロシア正教特有の画風だ。
イコンショップなんてのもあって買っておきたかったのだが、色々あって買いそびれてしまった。結局あとからどこかで買うこともできず、無念だ。



ところでここの三位一体寺院の「三位一体」というのは英語で言うと「トリニティ」という思想で、キリスト教の「父なる神と子なるキリストと聖霊は全て同一である」という教義に由来する。「同一である」って何か言ったもん勝ちみたいな凄まじい発想だが、カトリックもロシア正教もこの点では同じ。聖霊が何なのかは俺もよく分からないが、天使とはまた別物らしい。


【2】 サンクトペテルブルグ

帰りもまたモスクワに向けて長時間かかるのだが、その間にバスの中でクイズ大会があった。
我々は全11問中5問正解で、全然ランクインもせず賞品も無し。

とりあえずクイズとしては、北朝鮮が実はロシアと繋がっているという事実に驚愕である。

途中大渋滞に巻き込まれたりもしたが、無事17時頃モスクワに到着。そのまま空港近くのレストランへ。


・サラダ(いつも通り)



▲ボルシチ


▲鱈のムニエルとピラフ

・チョコレート巻き


ついにピロシキと双璧をなすザ・ロシア料理ボルシチが登場。ボルシチの赤いのはトマトではなく、ビーツ(赤かぶ?)の赤みのようだ。確かに日本でもかぶの甘酢漬けなんかを買うと、赤かぶからものすごい真っ赤な色が出る。
ちなみに調べてみると、正確にはビーツと赤かぶは全く違う植物らしい。現地のガイドさんは赤かぶと言っていたが、その辺り曖昧。

ロシアではかぶは一般的みたいで、そう言われるとあの童話『大きなかぶ』はロシア民話らしい。サンクトペテルブルグで買った民話の本に載っていた。

それにしても食事間隔が短いというか、飯食う以外ほとんど何もしておらず、あまり食欲もわかない。見かけフォッカチオで味はフランスパンみたいなパンが出てきたので、夜食用に持って帰った。

食後、いよいよサンクトペテルブルグへと移動する。
一行はバスに乗ってシェレメチェヴォ第1空港へ。国際線は第2だが、国内線は第1を使うようだ。
モスクワ〜St.ペテルブルグ間は鉄道のツアーも多いので、第1行く観光客はあまりいないかもしれない。

さて、モスクワ〜国内線を使うという行為が果たして恵まれてるのか恵まれてないのか。


悪名高いアエロフロートの真価が試されるのはまさにこの国内線であると言える


さすがにこのご時世、チェックはかなり厳しい。全員靴まで脱ぎ、持ち物チェック。
まぁ、これぐらいやってくれた方が安心感はある。

出発ゲートの近くでしばらく待ち時間があったので、自販機のコーヒーに挑もうとしたが紙幣ははじかれてしまった。たけしが硬貨を使って「紅茶」と書かれたボタンを押すが…

何故か誰がどう見てもコンソメスープ以外の何物でもない飲み物が出てきた。

どんな紅茶だ。。

味はヘンに甘じょっぱくて、コンソメスープとして飲んでも決して旨いもんではなかった。

そんなこんなで時間が来て、サンクトペテルブルグ行きのツボレフという飛行機に乗り込む。
チケットに出発の便名が書いてないとか、出発が遅れたとかアラを探せばいくらでも見つかるが、一番驚いたのは最後の方に乗り込んだら指定の座席と違う前の方のちょっと広い席を案内されて「どこでもいいから座れ」と言われたことだ。え?いいんすか?そんなんで。

結局我々のエリアは9人分の席に4人しか座っていないというような状況で、1時間強のフライトをかなりゆったりと過ごすことができた。機内食はパン1個だったがまぁ出ないよりはマシだ。

ということで着陸も無事決まり、St.ペテルブルグのプールコヴォ空港へ到着。

モスクワからSt.ペテルブルグというのは方角にして北西に位置するのだが、実際行ってみたらそれほど寒くなかった。むしろモスクワより暖かいんじゃないか?

『歩き方』の雨温図を見てもほとんど変わっておらず、むしろ冬はペテルブルグの方が気温が下がらないようだ。恐らく、内陸のモスクワと比べて海沿いの地形が関係しているのではないかと思われる……が、その辺の地学は苦手なのでよく分からない。

ペテルブルグのガイドはマキシムさん。誰もがコーヒーをイメージしたと思うが誰も口にしなかった。さすがみんな大人だなぁ。
バスで数十分、我々は今回のツアー最後のホテルであるプリバルティスカヤに到着した。

このホテルはホントにでかくて、客室が1200ぐらいある。1フロアー100室以上で、エレベーターから我々の部屋に至るまでに3つの扉があった。添乗員によると、日本人はSt.ペテルブルグに来るとほとんどこのホテルに泊まるらしく、実際彼女もここにしか泊まったことがないと言っていた。

ところでパスポートだが、ことSt.ペテルブルグに関してはパスポートの持ち歩きはそれほど気にしなくても良いようだ。モスクワでは持ち歩かされたが、今回はホテルに預けっぱなしで、代わりに一応ホテルの宿泊証明と共にカードキーを渡された。昔からこの街は観光客に開かれているので、警官もほとんどパスポートチェックはしないらしい。

マキシムさんが「ホテルの隣にスーパーがある」と言っていたので、イクラの瓶を開ける為にも缶切りを探す旅に出たのだが、結局そのスーパーを見つけることはできなかった。ホテルの周りを一周して分かったのは、このホテルの巨大さとロシア人の「隣」の認識の大雑把さである。何もかもがデカイよこの国は。

今日は疲れるようなことはほとんど何もしていないが、とりあえずパンをかじりながらウォッカを飲んで寝ることにした。もうサクッと意識が落ちた。ウォッカは強力だなぁ。


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