第三章 特選上カルビ
質問コーナーも中盤に差し掛かったところで、ついに現れた、4500円のカルビ。
6切れで4500円だから、1切れ750円のカルビ。
つまり、1切れがMASA51の昼飯(弁当にしては高め)と同額のカルビである。
なるほど……
色が違う。
これこそが霜降りだ。
ザ・霜降り肉だ。
この色合いに比べれば、1600円のカルビもかすむ。
触れる箸も震える。箸の感触さえ、違う。
網の上に置き、あまり火を入れずに、口の中へ運ぶ。
おお……
細かい表現は省こう。
まずかろうはずが無いではないか。
そして、それは今まで食ったことの無い食感だった。
断言してもいいが、一皿1600円のカルビと一皿4500円のカルビとでは、そもそもモノが違う。
ヒレとロースぐらい違うと言っても過言ではない。
下手すると、豚肉と牛肉ぐらい違うかもしれん。
Q6 スコアを見たときの第一印象は?
選手のスコアに対する自信を確かめる質問である。
驚くほどよくなっている人間にはそれ相応の反応があるはずだ。
MASA51 「正直、このスコアを取って「賭けていいのかな?」と思いましたよ。ええ。勝ちが見えてますから。
特にスタンスは崩さず。相変わらずである。
SHINN 「ボクはまぁ、こんなもんかな、と。本当に。
よかったのか悪かったのか見えにくい反応。やはり余裕の表れか……?
YMINORU 「予想と変わらんかった。
その予想が知りたいのだが……。とは言え、これはある意味本音とも取れる。
ところで、YMINORUは今回一番勉強してきたと言われている。
どういう勉強なのかと聞くと、専らリスニングを鍛えていたとのこと。短期間でスコアを伸ばすには、確かに合理的である。前回最下位とは言え、この作戦高さは侮れない。というわけで、次の質問。
Q7 リーディング派?リスニング派?
選手の得意科目の偏りから総合得点を推測するための質問。TOEICは、リスニングとリーディングそれぞれのスコアが出る。
日本人は、一般にリスニングの方が上がりやすいと言われる。逆にいえば、元々日本人はリーディングが得意なのだが、とすれば、やはり勝負を決めるのはリスニングではないだろうか?リスニングの上がり幅のインパクトから、合計点を予測する高度な質問内容のつもりだ。
MASA51 「リーディングですね。
これは珍しいパターンだ。とは言え、彼は最近仕事でひたすら英語を読む機会が多い。彼に関してはリーディングが得意と言ってもおかしくない。
SHINN 「リスニングかな。
やはり順当な気がしてきた。今回リスニングの方がいい結果が出たのだろう。SHINNが一位か……?
YMINORU 「リーディングです。
リーディングなんかい!! リスニングをひたすら勉強してリスニングが伸びてないってことなのか??それともリーディングの方が圧倒的に伸びたってことか? いやそれは考えにくい……
焼肉の話に戻ろう。この店、さすが高級店だけあって、かなり頻繁に焼肉を焼く網を交換しに来る。
見た感じ、ほとんど汚れて無くても換えてくれる。さすがだ。
待っていると、骨付きカルビが登場。勿論、韓国のようにはさみで切り分けてくれる。中々本格派な感じだ。
個人的には結構気にいったが、「食べる部分が少ない」ということで、結構不評だった。
Q8 恐らく焼肉を自分におごってくれるであろう、他の2人に対して一言
この質問は言わば選手のパフォーマンスタイム。
自信が無ければ、ここで無意識に控えめになってしまうに違いない。
MASA51 「まぁ、……今度休憩のときおごってやるよ。
訳すと、「あくまで今日は借りだけど、申し訳ないから今度休憩のときにクリームソーダでもおごりますよ」ぐらいの意味だろうか。
SHINN 「約束だから仕方ないと思いますよ。おごりってのは。
訳すと、「敗者に情けはかけません。だって最初に約束しましたから、きっちり守ってもらいましょう」ぐらいの意味だろうか。
YMINORU 「いや、私はおごる方が好きなんですよ。
訳すと、「今回勝てないかもしれませんが、おごるのは好きでやってることですから気にしないで下さい」ぐらいの意味だろうか。って、それじゃ負けてるじゃんか。。
ところで、YMINORUのハイスコアは445だが、実はそれは前々回のスコアであることが判明。
前回スコアは425だったらしい。
となると、前回は490、480、425という順位だったことになるが・……
YMINORU、やや不利か?
しかしここにきて、外馬のU1LOWが今回TOEICを受験していたことが判明。
その結果に対して場は騒然となるが、詳細は伏せておこう。
ただ、次回U1LOWを含めて4人でバトルすることになったということだけ付け加えておく。
Q9 愚問だとは思いますが、あえて聞きます。ズバリ、自分は何位だと思いますか?
選手の自信を探る質問。ストレートな質問だけに、回答者の力量が問われるところ。
嘘をつくと言う先入観の余り、逆に1位と答えない人間が怪しいが……
MASA51 「正直、2位か3位でいたい! が………
が……何なのか。そうさせてもらえない何かがあるのか。
SHINN 「3位はありえないな。。
ここでも謙虚さが伺える。だが同時に、ここで本音が出たとも取れる。それなりのスコアは取ったと言う自負と、圧倒的なスコアではないと言う不安。
YMINORU 「愚問だな。
ある意味で予定通りだが、予想を立てられるような情報は含まれない回答。だが、これは余裕ではなく気の効いた回答が出せないと言う動揺の現われと取れなくも無い。
Q10 最下位は誰だと思いますか?
受験者間での心の上下関係を探る質問。
選手同士にとっての手ごたえから順位を推測しよう。
MASA51 「YMINORU。
SHINN 「YMINORUさんかな
YMINORU 「MASA51。
何となく分かってきた気がする。