<あらすじ> 世界最強の殺し屋軍団、ガンマ団総統の息子シンタローは一族の宝である青い秘石を盗み、親元から脱走する。しかしその逃走の途中、ガンマ団の追っ手に襲われ南海の孤島パプワ島に漂着する。パプワ島には、めちゃめちゃ強い謎の少年パプワ君と、人の言葉をしゃべる奇妙な動物たちがすんでいた。そして混乱するシンタローに追い討ちをかけるように、ガンマ団の刺客が次々とパプワ島にやってくる・・・シンタローは無事に愛する弟コタローの元に帰れるのか?
<みどころ>
現在さまざまな雑誌で活躍している柴田亜美の事実上の出世作とも言っていいのではないかという作品である。かつて、アニメ化もされ、パプワ君の「んばば!」のセリフで知っている人も多いのではないか。 読んだことがある人はわかると思うが、この漫画は前半部と後半部で明らかに毛色が異なる。前半部はどうしようもないくらい明らかにギャグ。ブラックユーモアあり、シュールなものあり・・・そして出てくるパプワ島のキャラクターもどうしようもないくらいぶっ飛んでいる。大体タンノ君のような足のある、しかも等身大のしゃべる鯛なんて誰が思いつくのだろう!このへんは柴田亜美のセンスとでもいうべきものなのだろうか。しかしこの前半部、ただのギャグだけに終わらない。ギャグ漫画のなかにちりばめられたさまざまな伏線が、後半部に生かされている。
そして問題の後半部。ここで「問題の」といったのは、話の内容が複雑すぎてなんだかよくわからないからである。これは私の個人的な感想ではあるが、おそらくこの作品を読んだ人の大多数がそう感じたのではないだろうか。はっきり言って、ガンガンに連載されて毎号ごとにこまぎれに読んでいた時点では、ほとんどの人が理解できなかったのではないかと思う。いきなり出てくるキャラが多いし、そのキャラクター同士が似ているし(笑)。しかし「かめばかむほど味が出る」とでもいうか、単行本で2度3度と読むうちに、話の全体像が見えてくると、よく練られた構成に、そして話の奥深さに思わずうなってしまう。「人間の運命とはなんだろう?」見様によってはそんな哲学的なことまで考えさせらてしまう作品である。
(竹)
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